前回の進化心理学の話のつづき
COVID-19の出現によって世界は大きく変わってしまった。
一番変化したのは我々の生活スタイルだろう。
Stay Home。
家の中に閉じこもるのは、多くの人にとって耐えられないことらしい。
しかし…
Twitterを見ていると、いつのまにかとてつもない時間を消費してしまっている。
そんな経験はないだろうか。
実際、SNSを見続けてしまう人が増えているのだという。
- 気づけばスマホを手に取りアプリを開いてしまう
- 夜中に目が覚めたときまでアプリを開いてしまう
スマホ中毒とも呼ばれるこれらの症状は、進化心理学的に説明できるのだという。
今回はTwitterと進化心理学について。
進化心理学とは?
まず進化心理学の復習から。
ヒトの歴史を振り返れば、200万年間の旧石器時代があり、農耕が始まったのはわずか1万年前。
そのためヒトの遺伝子は、まだ旧石器時代のままである。
このようなヒトの進化の過程から、体のしくみなどを解明するのが進化論である。
ヒトのからだが進化によってつくられたように、私たちの心や感情も進化の過程でつくられ、遺伝的にプログラムされている。
つまり感情も旧石器時代に最適化されている。
そう考えれば一見不合理に思われる人間のいろいろな感情も論理的に説明することができる、というのが進化心理学である。
Twitterにハマる理由
我々はなぜTwitterに夢中になるのだろうか。
その理由を進化心理学的に解説したのが「スマホ脳」である。
私たちの祖先が生きたのは、食料や資源が常に不足していた世界。
生き延びるためには常に新しい情報が必要だった。
新しい場所や環境を探したいという衝動があれば、食べ物を見つけられる可能性が高い。
その結果、人間には新しいもの、未知のものを探しに行きたいという本能が組み込まれているのである。
それではTwitterの場合はどうだろうか。
アプリを開けばTLには常に新しい情報が並んでいる。つまり脳は情報という報酬を確実に得ることができる。
これが我々がTwitterに夢中になる理由の一つである。
不確かな未来への欲求
しかしそれだけではない。
我々は確実に得られる時よりも、むしろ得られるか得られないか分からない時のほうが夢中になるのだという。
動物実験では、レバーを押すと確実に餌が出てくるときよりも、時々しか出てこないときのほうが、ネズミたちは夢中になってレバーを押すそうだ。
この理由は、「不確かな結果」に対して脳が多くのドーパミン放出するからである。
人の脳でも同じことが言える。
それがなぜなのかも進化心理学的に解説できる。
我々の祖先が、たまにしか実がならない木の前に立っているとする。
実がなっているかどうか地上からはわからないので、木に登らなくてはいけない。
そして登ってみて何もなかったとしても、あきらめずにまた別の木に登る。
このようにハズレを引いてもあきらめない人は、そのうちに高カロリーの果実を得ることができるのである。
つまり不確かな未来への衝動があることよって、生き延びる確率が高まる。
実が得られるか得られないかわからない。こんなときにドーパミンが放出され脳は報酬を得るのだ。
それではTwitterの場合はどうだろうか。
いいねがついているかもしれない。
RTされているかもしれない。
ツイートがバスっているかもしれない(バズったことはないが…)。
そんな期待からドーパミンが放出され、スマホが気になってしょうがない。
Twitterは我々の狩猟時代の本能をハックしているのである。
まとめ
人間の集中力は有限である。
スマホによって常にドーパミンが放出されることによって、我々は集中力を消費させられているのだという。
そう言われてみれば思い当たる節もある。
老化現象なのかと思っていたが、実はスマホの影響もあるのではないだろうか。
少しTwitterから離れてみたい(と言いながらTwitterを開く)。
Source: 皮膚科医の日常と趣味とキャリア
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