米国のNIH(アメリカ国立衛生研究所)出身のウイルス学研究者で、医師の本間真二郎さんは、10月8日に新著『新型コロナ ワクチンよりも大切なこと』を出版しました。テレビや新聞など影響力の大きなマスメディアでは、新型コロナウイルスの新しい変異株が見つかるたびに、「従来のものよりも感染力がはるかに高い」「増殖能力も高い」「重症化する可能性が高い」「自宅における死亡者も増加している」
などという紹介がなされ、さらには、「ワクチンが効かなくなる……」といった観測を伝え、「変異株は本当に恐ろしい」と、国民の不安をあおるような報道が見られます。しかし、結論から申し上げると、感染力が高いことが必ずしも重症化度や致命率(死亡率)の上昇と関係しているとは限りません。ウイルスの変異というものは、伝えられているイメージとは異なり、ウイルス学的にはなんら特別なことではありません。まず、ヒトなどDNAをもつ生物の遺伝子はほとんど変化しませんが、ウイルスの遺伝子の変異はウイルスにとっては、あたりまえの日常的なことになります。ウイルスが変異した場合に通常見られる変化は、以下の点になります。–
———●変異により性質は「凶悪」になる場合も、「穏やか」になる場合もある●ただし通常、その性質は大きくは変わらない●「凶悪なウイルス」は変異すると、おおむね性質がマイルドになる———-
多くの場合、変異してもそのウイルスとしてのおおまかな性質は、すぐに大きく変わることはありません。たとえば、インフルエンザウイルスはどんなに変異しても、インフルエンザウイルスであり、強い風邪の症状をおこすウイルスです。エボラウイルス(感染者の数人にひとりが死亡する、とても致命率が高いウイルス)や、麻疹ウイルス(空気感染するとても強い感染力をもつウイルス)のように、その性質が「凶悪」に変わることはないということです。ウイルスによる致命率(死亡率)が高く、すぐに感染した人が亡くなってしまうような「凶悪なウイルス」の場合、ウイルス自身も生きることができなくなります。そのため、たいていの場合、じょじょに「性質」がマイルドになっていく傾向にあります。生き残れなければ、ウイルスにとっても都合が悪いからです。ですから、多くのウイルスでは変異すると感染力(感染が拡大する力)は高くなるのですが、重症化度(病気自体の重篤度)は低くなることが多いのです。
正確には、ほんのわずかでも感染力が高くなる変異がおこった場合、急速にその株が広まり、感染流行全体に占める割合も高くなるのです。極端な場合にはその後の流行は、その株だけが広がっていきます。
つまり、新型コロナウイルスで今のところ報告されているウイルスの変異は、インフルエンザほど速いペースではなく、新型コロナウイルスのさらに新型が次々と出現するような変異ではありません。
「現在までに新型コロナウイルスのたくさんの遺伝子変異が報告されてきたが、遺伝子の違いにより重症化度、致命率に大きな違いは認められない」これが私の印象です。
いっぽうで、感染力が高いことが必ずしも重症化度や致命率(死亡率)の上昇と関係しているとは限りません。
感染率が高く軽症であれば、極端に感染を防ごうとするより、「自然に感染して免疫がついたほうがいい」ということにもつながる可能性はあります。
また、これらの解析から、次のことがつかめました。
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●変異株の出現により、重症化度に大きな違いはない。
●日本を含めたアジア全域では、欧米に比べて致命率(死亡率)が極端に低い。
●その背景は、遺伝子変異によるものではない。
●また、新型コロナウイルスのなんらかの「軽症型」が先行したためでもない。
●今後、海外から変異したウイルスが入ってきても、日本での致命率(死亡率)が欧米のように大きく増加することはおそらくないと推定される。
———-新型コロナウイルスは変異のしやすいRNAウイルスの仲間です。
変異により、新しいウイルス株が出現してくるというあたりまえのことが、あたりまえにおきているのであり、新しい変異株が見つかるたびに、ことさら大騒ぎする必要はないと思っています。
本間 真二郎(医師)
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Source: 身体軸ラボ シーズン2
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