「ピロロ...」
LINEの着信音が鳴る
携帯の待ち受けに表示されているのは、
久し振りに見る名前
「彼女からだ」――
昨夜届いた、彼女からのライン
年に2~3度やりとりをしている、
年下の女性だ
彼女も乳がん経験者なのだ
知り合ってから、
もう10年になるだろうか
彼女が乳がん治療中、
ネットを検索していたとき
私のブログを目にしたらしい
そこでたまたま居住地が近いことを知り、
会いに来てくれたのが
彼女との出逢いのはじまりだった
もともと彼女は地元を離れ、
都会で生活をしていた
そこで乳がんがわかり、手術を受け、
抗がん剤治療をするために、
実家があるこの地域に戻ってきていた
「りかこさん、つらいよ」
「りかこさん、
いつかはこんな気持ちから抜け出せるの?」
「りかこさん、
なんで私、乳がんになったの?」
「りかこさん、なんで私なの?」
いつも夜になるとLINEを送ってきた
がんになると、なぜか夜は悲しくなる
途轍もない淋しさ、虚しさ、不安が襲ってくる
病と、副作用のつらさと、
心の闇と闘っていた彼女
がん患者はみんな、
通ってくる道なのかもしれない
まだ放射線治療と
ホルモン療法が残されていたが、
化学療法を終え、
分子標的薬の治療が終わると
彼女は都会へ帰って行った
それから徐々に
LINEでのやり取りは少なくなっていった
彼女のことを気になりながらも
私からLINEを送らなかったのは、
彼女が乳がんから離れたいように思えたから
乳がんのことを忘れて、
日常を送りたいように感じていたから
「私がLINEを送ると、
彼女はきっと乳がんのことを思い出す」――
だから私はLINEを送らなかった
年に2~3度、送られてくるLINE
それは、
彼女が不安に襲われたとき、
そして悲しいとき、
迷ったときだ
「なにかあった?」
と、返信すると、
「なんでわかるんですか?」
というのが当初のやり取り
が、今では、
「なにかあった?」と聞かれることを
彼女はわかっているのだ
本音でぶつかってきた彼女
抗がん剤治療中は、
本当につらかったのだと思う
そんな私も、彼女には本音を吐ける
本音の本音を言えるのは、
きっと彼女しかいないかもしれない
そこには、
同じ“乳がん”という病を経験した思いが
あるのだと思う
私はどっぷり“乳がん”という世界にいる
『がん患者サロン』やこのブログ
そして『がんの授業』や
ピンクリボン活動...
が、彼女は新しい道に突き進んでいる
弱々しく私に頼ってくれていた彼女
そんな彼女は今、とても強く見える
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Source: りかこの乳がん体験記
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