“Different immune cells mediate mechanical pain hypersensitivity in male and female mice”
雄雌のマウスを用いて、
痛みがどのように伝わるのかを調べています。
従来は
痛みは、
ケガや炎症部位から、
免疫細胞を介して神経細胞に伝わると考えられてきました。
神経細胞は、
神経膠細胞(神経系を構成する神経細胞ではない細胞の総称)で包まれていて、
そのうちのミクログリアが、
痛みの伝達に大きな役割を持っているとされています。
今回の研究では
複数の手法によって
マウスのミクログリアの作用を阻害する実験を行っています。
ミクログリアの作用を阻害すれば
痛みはうまく伝達されないはずだからです。
その結果
雄の個体ではこの試みが上手くいきましたが
雌の個体では失敗しました。
雌は痛みの伝達に、ミクログリアではなく、
免疫細胞であるT細胞が主な機能を果たしているためと推定されました。
痛みを伝える主な手段として
雄は、ミクログリア
雌は、T細胞
が活躍するようです。
今回の研究結果から、
痛みの伝達経路に関して、
雄雌の性差が存在しており、
伝わり方に大きな違いがあることが明らかになりました。
伝達の差は、痛みの差となって現れているはずです。
ある調査では
「女性の方が痛みに強い」と考える人は約7割、
「男性の方が痛みに強い」と考える人は約2割。
という結果が出ています。
動物実験では
男性ホルモンである「テストステロン」が増えると痛みを鈍らせる作用があり、
女性ホルモンである「エストロゲン」が減ると痛みを感じやすくなる作用
があることが判明しています。
男女でさまざまな面から
痛みに関する違いがありそうです。
ディスカバリーチャンネルの番組で
痛さと冷たさにどのくらい我慢できるか男女差を見た実験があります。
氷水の中にどのくらい片手を入れておくことができるのか。
結果は、
女性の方が長く耐えられました。
でも、
女性は二極化し
出産経験のある女性は最も長く
出産経験のない女性は、
男性よりも短かったという結果になったようです。
また痛みに関しての考え方にも
男女差があります。
ある製薬会社が2015年に実施した長く続く痛みに関する実態調査では、
それによると
痛みを感じたときに初めにとる対処法は
「塗り薬・貼り薬を使用する」(26.0%)が最多。
男性は「我慢」(男性24.0%、女性18.2%)、
女性は「痛み止めを飲む」が多い(男性9.3%、女性15.1%)
自身の痛みを周囲に伝える理由としては
男性は「自身の痛みのせいで迷惑をかける可能性があるから」(34.6%)、
女性は「話すことで自分が安心するから」(36.1%)が最多。
自分が痛みを感じているときにパートナーに期待する行動は
男性は「そっとしておいてくれる」(69.2%)、
女性は「できないことを代わりにしてくれる」(83.1%)が最多でした。
ちなみに
痛みどめの副作用にも男女差があります。
痛みどめとして人気のイブプロフェン。
頭痛の薬としてもよく使われていますが、
これは
男性では不妊症となる可能性があります。
米国科学アカデミー紀要PNASに
フランスとデンマークの研究チームが、
イブプロフェンと男性の不妊症の副作用について調べた論文が
掲載されています。
この研究では
イブプロフェン600mg(錠剤3錠分)を毎日6週間服用するグループ
と
何の効果もないプラセボ薬を毎日服用するグループ
で比較しました。
テストステロンの合成に影響するホルモンの分泌量増加が確認され
長期に服用した場合には、
結果として不妊症につながる可能性が示唆されました。
この研究を始めたきっかけは、
イブプロフェンなどの痛みどめを
妊婦が服用した場合に
男の赤ちゃんの睾丸に副作用が出る可能性があることが判明しているからです。
ここでも妊娠した女性が痛みどめを飲んでも
副作用が出やすいのは
お腹の中の男の子ということになります。
痛みどめを常用していたり
長期に飲んでいる人は
注意したいことですね。
長期に飲んだ場合にどうなるのかは
わかっていないのです。
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Source: ひかたま(光の魂たち)
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