癒しのベトナム

内科医

  この10連休は真ん中の2日間のみ診療を行い,後半はかみさんとベトナムのダナンに4泊の旅行に行ってきました.

  ベトナム中部にある人口約120万人の大きな港町ダナンは,近代的なビルが立ち並ぶ中,道々には多くのバイクが所狭しと走り回り,少し路地を入れば数多の露店が歩道を埋めつくしたりして,アジアの雑踏を身近に感じられます.他のアジアの発展途上国と同様若い人たちが多く,街全体が大きな活力に満ちているのを肌で感じられました.
  また南シナ海沿いは一大リゾート地として,今回宿泊したナマンリトリート(Naman Retreat )始め多くのリゾートホテルが並んでいます.

  ダナンから少し南に位置する古くからの港町ホイアンは,エキゾチックな街並みが世界遺産に登録されており,特に日没になると数え切れないほどの色とりどりのランタンが街中に灯って幻想的な雰囲気を醸し出しており,その美しさは多くの観光客を楽しませていました.

  また少し足を伸ばして,古都フエへのツアーにも参加,これまた世界遺産となっているグエン王朝時代の壮麗な王宮や寺院の数々を見学,19世紀初めから約150年続いたこの王朝の栄華に思いを馳せました.

  ホテルも申し分なく,広大な敷地にコテッジタイプ,プライベートプール付きの広々とした部屋,ベトナム料理はもちろん様々な美味しい料理を堪能できるレストラン,身も心も癒されるスパ,南シナ海を見渡せる大きなインフィニティプール,と普段味わえない贅沢な時間を過ごすことができました.

  ベトナム人の小柄な体型,優しい雰囲気,少しはにかんだような人懐っこい笑顔は我々日本人にも親しみやすく,勤勉で忍耐力の強い国民性は,フランスや日本による植民地化,戦後の東西陣営による分割,そしてあの忌まわしきベトナム戦争と,苦難の道をくぐり抜たことにより育まれたのかもしれません.
こういった点はどこか我々日本人にも通じるところがあり,この国が親日的と言われるのも頷けます.

  ベトナム人といえば,米国ピッツバーグに留学していた時の研究室の同僚の生化学者,Cao(カオ)さんのことを思い出します.
  そのころ,イラクによるクエート侵攻が起こり,米国を中心とした多国籍軍がイラク攻撃に踏み切って湾岸戦争が勃発しました.
アメリカ人の同僚だったEricは,米国は世界の警察の役割を果たしていると主張してこの攻撃を正当化していましたが,Caoさんだけは,「どの国も何もするべきではない」と主張,私はあまりにも身勝手に思えた彼の言葉に驚きました.
  けれども当時の世界情勢を考えるとこれは単純な勧善懲悪の問題で片付けられるような問題ではなかったですし,Caoさんの発言も,大国の勝手な思惑による代理戦争の場として翻弄されてきた自国の歴史を思い出しての発言だったのでしょう.私は今となっては思慮の浅さに恥じ入る気分ですし,現にこの戦争が結局は現代の混沌とした中東情勢を産み出してしまったことはその後の歴史が証明しています.

  ほんの数日間の滞在でしたが,苦難の過去を抱えながらも,若い世代を中心に,明るい未来を信じて成長していこうとするこの国の人々の熱いエネルギーを感じることができました.

  異国への旅は,ただ観光やホテルステイを楽しむだけでなく,日本にいるだけではついつい狭隘になりがちな視野を広げてくれ,我が国そして日本人を客観的に見るいいきっかけになります.

  さて,今月からいよいよ新元号,令和の時代となりました.国内はもちろん世界を見渡しても相変わらず毎日のように不安を掻き立てるようなニュースばかり耳にしますが,少しでもいい方向に向かい,誰もがあちこち自由に旅行ができる平和な時代であってほしいと思います.


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Source: Dr.OHKADO’s Blog

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