霊感があるわけではない
予知能力を持っているわけでもない
が、私は昔から
どこか“勘”が鋭いところがある
2年前、あるSNSで知り合ったのは、
同じ乳がんを患っている女性
いつも周囲を気遣い、
感謝の気持ちにあふれ、
『人生楽しんだもん勝ち』が口癖
その言葉通り、
病を感じさせないほど...
いや、病を患っているからこそ、
限りある命を思う存分楽しんでいた
人懐っこく、お茶目で、
“ひと”がとても好きだった彼女
私が持っていないものすべてを
持ち併せているその姿は、
羨ましくもあった
いつも笑顔を絶やさない表情には
子どもの無邪気ささえ感じさせた
「“天真爛漫”とは、
きっと彼女のためにある言葉だ」
そう思えるほど、朗らかな女性である
が、その無邪気さや笑顔の裏で、
きっと、たくさんの痛みやつらさを
抱えていたのだろう
少し前、そんな彼女の異変を感じていた
彼女は表には出さない
が、いつもと違うのは、
なんとなく伝わってくる
そして2日前、
SNSの彼女のアカウントが消えた
何も言わず、
彼女は大好きだった自分の居場所を消したのだ
咄嗟に、
「彼女になにかがあった」と直感した
実は彼女は、
もうひとつのアカウントを持っていた
幸い、そのアカウントは
そのまま存在していた
私は焦った指先で、メッセージを送信した
なにかあった?
アカウントないじゃん!!
それとも新しく生まれ変わって、
「ジャーン!! またよろしくね~」
って、登場してくれるの?――
いつもすぐに返信をしてくれた彼女
私が落ち込んでいるときは、
真っ先に励ましのメッセージを送ってくれた彼女
...が、今回は、
“既読”になる気がしなかった
あれから丸2日――
私は何度も何度も携帯を開き、
“既読”になっているか確認している
「りかこちゃ~ん、ごめ~ん。
間違ってアカウント削除しちゃったよ~」
と、あの人懐っこい笑顔で
メッセージが来ることを
私は心のどこかで待っている
真実が知りたい
...が、知りたくない思いもある
既読にならないメッセージを開くたび、
切なさがこみ上げる――
「彼女はきっと、
どこかで元気にしている」
そう思い込もうとする心と、
最悪なことを考えている心...
携帯を開くと、
彼女の残像が過ぎる
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Source: りかこの乳がん体験記
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