きのう、トマトをいただいた
もぎたてのトマトだ
ヘタの、この青臭さがたまらない
この匂いを嗅ぐと、
子どもの頃の記憶が蘇る
それは、夏
田舎のじいちゃんの家に行くと、
腰が曲がったじいちゃんが、
畑に行ってトマトをもいできてくれた
真っ赤でまん丸で大きかった
子どもの私には、
それがおいしいかどうかなんてわからない
ただ今になって思えば、
熟したもぎたてのトマトを食べられるなんて、
とても贅沢なことだと思う
味も濃く、
明らかに栄養価も高い
小中学生の頃は、
自宅の庭でトマトを栽培していたことがある
母が好きだったからだ
太陽をたっぷり浴びて育ったトマト
熟したトマトを選んでもいで、
そのままかぶりついていたっけ...
あるとき、母がトマトを切って、
上白糖をかけて
出してくれたことがあった
ちょっとした“おやつ”だ
お皿に残ったトマトの汁に上白糖が融けて、
これを飲み干すのがまた旨かった
が、大人になって知ったのだが、
“トマトに砂糖”は北海道特有らしい
テレビで“トマトに塩をかける”と聞いて、
さらに驚いたものだ
真似をしてみたが、
砂糖に慣れた舌には
塩味は違和感しかなかった
そんな今では、断然“塩派”
たぶん、砂糖をかけていたのは、
戦中・戦後の甘いものが贅沢な時代の、
おやつだったのかもしれないな...
...もぎたてのトマトを食べるたび、
いつもそんなことを思い出すのだ
そういえば最近、スーパーで
ほとんどトマトを買わなくなった
今ではもっぱら、
使い勝手のいいミニトマトばかり
味が濃くて美味しいし...
買わなくなった理由は、高いこと
そして、
あまりおいしくないこと
自宅の庭で、タダ同然で、
完熟・もぎたてを食べていたのだから
仕方がない
私にとって、“トマトに砂糖”は、
“ばあちゃんと母の味”なのかもしれないな...
久し振りに食べてみたくなった
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Source: りかこの乳がん体験記
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