「ルールは守りましょうね!!」――
アトリウム内に女性の声が響いた
振り返ると看護師さんだろうか、
70代と思しき女性に
少し強い口調で注意を促している
傍らには
病衣姿で点滴スタンドを押している、
こちらも70代くらいの男性
男性はすでに踵を返し、
その場から離れようとしていた
注意を受けている女性は
厚手のコートを着ている
今、まさに、
“外からやって来た”という感じだ
手には紙袋
その紙袋に手を突っ込みながら
看護師さんになにかを訴えている
が、
「今、コロナで大変なときですから」と、
看護師さんは女性の訴えを遮る
「着替えを渡そうと思って...」
女性は紙袋から着替えなのだろうか、
なにかを取り出しながら食い下がる
ここは、とある病院
1階のアトリウム
たぶん、70代くらいの女性は、
病衣姿で点滴スタンドを押していた、
男性の奥さん
新型コロナウイルスが広がってから、
病院は3年間、面会は全面禁止のまま
“病室には行けないから、
ひとが多く行き交うアトリウムなら...”
そう考えたのだろう
が、そこは“ルール”
看護師さんは優しく、
が、時に強く諭しながら
女性を病院の出口に促す――
今、コロナは第8波がはじまっている
この街も、連日、
これまでにないほどの感染者を出している
病院は、
かなり厳しい状況にあるだろう
こんなときに
院内で感染者が出たら...
「私一人くらい」
「病室じゃないし、
アトリウムでちょっと会うくらい...」
そんな軽い気持ちだったのかもしれない
入院患者は心細いものだ
命にかかわる病気なら、
さらに淋しい思いをするだろう
それは、家族もまた同じだ
コロナは
人と人のつながりを分断させる憎い奴
最期を看取れない家族もいる
“ルール”とはいえ、
なんだか切なさが残った――
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Source: りかこの乳がん体験記
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