過去と今の、医療と対応 ~後 編~

「悩みや不安なことがあったら、
 精神科も紹介できますよ」――

デポ注射を受けるため診察台に横になり、
下腹部を露出したまま
主治医が来るのを待っていた私の耳に、
看護師さんの声が聴こえてきた

聴こえてきたのは、
壁一枚隔てた隣の診察室

看護師さんの会話の相手は、
たぶん、今まさに、
「がん」と告知を受けたばかりの患者

女性の声から、
「乳がんなのかな?」と勝手に想像する

そして、

「大丈夫だよ。
 治療をすれば、また元気になれるから」

と、心の中でエールを送る、
まだ乳がん一年生の私――

が、次の瞬間、羨ましさがこみ上げた

「今はこうして
 “精神科を紹介するよ”と、
 言ってくれるんだ...」

と...

私が乳がんを告知を受けたとき、
“精神科”の“せ”の字も出てこなかった

「高々1年くらいで、
 医療現場はこんなに変わっているんだ...」

そう思った

当時、読み漁った乳がんの書籍には、

  ...と言っても、
  読んだのは3冊ほどだが...

『時には“心の専門家”を頼ってみましょう』

との表記が必ずあった

が、
私の街には“心療内科”がないため、
かかるとなれば“精神科”になる

  ㊟現在は
   “心療内科”と謳っているクリニックが
   2箇所ある

“精神科”という響きだけで、
なんだかハードルが高くなる

それに、子どもの頃の
あまりよくないイメージもある

万が一、精神科に通うとなると、

「このあいだ、
 佐藤さんとこのりかちゃん、
 精神科にいたのを見かけたんだけど、
 精神病なんだろうかね」

なんて近所の噂が広がりかねない

   ㊟もちろん、
    精神病を揶揄しているわけではない
    私の地域の一部の
    近所のおばさま方の表現である

ホルモン療法をはじめてから数か月、
かなりの鬱に悩まされた

なにもしていないのに
勝手に流れてくる涙

毎晩、夜になると
悲しくて切なくて泣いていた

夜も眠れず、
ベッドの中で唸り声をあげていた

それは、
暴れまくりたい衝動を
抑えようとしている心の葛藤

それは、
手あたり次第、すべてのものを
ぶっ壊してしまいたい気持ちと戦っている心の声

それは、
自分を傷つけたい衝動を
必死に抑えようとしているうめき声だった

「誰か助けて!!」

声にならない声を、
私は心の中で叫んでいた

本当につらい時期だった

もちろん、主治医にも言えず、
看護師さんにも話せず、
ただただ耐える日々だった

「誰かそっと私の腕をつかんで、
 病院(精神科)に
 連れて行ってくれないかな」

と、心の中で願っていた

今は心療内科も、
がん治療とともにある

患者会も、きっと、
がん患者が抱える不安の中で、
大きな役割りを果たしているのだと思う

医者より、抗がん剤より、
同じがんを経験した仲間が一番の心の薬

  ちなみに、“漢方”

  ホルモン療法の副作用として
  “更年期様症状”があるが、
  その症状を緩和させるため、
  今は漢方薬を処方してくれる医療機関も
  増えたようだ

  私がかかっていた病院では
  漢方薬は処方してくれなかったので、

   西洋医学に東洋医学をぶち込むなんて、
   以前は考えられなかっただろう

  私は漢方に頼ることはなかったし、
  たぶん漢方を飲んでも、
  効果はみられなかったと思う

  それほど副作用がひどかった

  実際に漢方を飲んでいる人の中に、
  「効いているのかいないのか
   よくわからない」という声も多かった

  それに私の場合、
  「これ以上、治療にお金をかけられない」
  という思いもあった

『世の中、
 がん患者に優しい時代になっている』

長い間、“がん”という人生を歩んでいると、
そんなことを思うのだ

  今朝の気温、
  今季最低の-14.5℃

  どんどん更新される最低気温

  リンパ節郭清をしたわきの下が
  ズキズキ、ペキペキ痛むのは、
  どうやら一生のつきあいらしい

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Source: りかこの乳がん体験記

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