求める時代ではなく、認め合う時代に。

医療機関

ここ折れとらへんやろ?大丈夫や。家におる。

病院は行かへん。ワクチンも3つもしたんやで。

足だって大丈夫や。心配要らん。

 

今日はやっと、ご自身で布団をめくって

どうしても動かない左の股関節を僕にみせようとされる。

大丈夫のお墨付きをもらおうとお母さんは必死だ。

 

 

在宅医療は、暮らしを支える医療。

 

緩和ケアと共に、生活再建学であるリハビリ的視点が重要だ。

 

ADL(日常生活動作)の予後予測をしながら、

介入のタイミングを見誤らないよう頻回の訪問が必要だ。

 

股関節のおそらく折れているだろう部位、ご本人の年齢、認知機能、家族構成、家屋環境、

これらを総合的に考えると、入院治療で改善が見込まれる移動能力は、車いすレベルが限界だが、

入院治療をしない今の選択でも、移動能力には大きな差が出ない。這って移動が最終的な形。

その間の痛みのコントロールは、現在の這っての移動メインならば、自制内。

入浴は、這って浴室に行き、浴槽のヘリにしがみつきながら湯量の多い湯船に入られている。

浴槽からも湯量が多い為、万が一の溺れてしまうリスクもあるが、出入りがしやすい利点もある。

入浴時、傍で見守るお父さんは、左不全麻痺でお母さんを引き上げるのは少し難しい。

入浴介護者等のサービスも考慮しつつも、このギリギリのバランスを保つことも大切な気もする。

介護保険サービスで生活再建が図られるとは限らない。

着替えや排泄は、なんとか、ご自身の痛みと相談しながら、やれているようにも見える。

これらの身体状況を含めた医療情報を、日曜日も仕事されている息子さんに電話で報告説明。

どうにもならない状況であるが、どうにもしてはならない状況でもあり、

ご本人のリビングウィルを尊重しながら、綱渡りをしていく。

 

 

高度成長期は過ぎ去り、高齢化社会で、多死社会を迎えているこの国で

こういった老々介護の現実は、日常茶飯事になってきた。

それでも、人は生きていかなければならないし、できるならば、夢や愛だってほしい。

 

先生、先逝ったもん勝ちやなああ、年取るんは難しいわ。

ピンピンコロリ言うわけにいかんやろ、ホンマ困った困った。

 

普段はしない洗濯機を回しながら、こうつぶやくお父さんもまた、不安そうだった。

 

また明日来るからな、心配いらんで。そう伝えるとお父さんは少し笑顔になった。

 

人生の仕舞い方、やっぱりみんなで考えましょう。

求めるだけの時代から、少し変えないといけないと僕は思います。

 

ひとりぼっちが好きになりたい。

そんな歌がラジオから流れてました。

良かったら聴いてください。

 

 

 

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Source: 兵庫県三田市の在宅療養支援診療所「たなかホームケアクリニック」

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