いつかまた匂いが感じられるまで。

医療機関

味覚や嗅覚が失われたことがあるか?

食べる意欲も生きる意欲も無くなってしまう。

それがもし、自然に起こったことではなく医原性だったら、、、

 

医療は薬に依存している。薬以外の医療を、僕は学んでこなかった。

医者の治療の多くが内服薬であるが故に、経口摂取がほとんどだ。

味覚や嗅覚が失われた時、どうなる?もうおわかりだろう。

殆どの治療が拒絶される。残された時間は楽しむ時間ではなく、

死をただ待つ時間となってしまう。内服薬経口摂取や点滴医療の拒絶。

僕は、医者は、本当に無力だ。

 

 

そんな時、この悩みを、信頼する訪問看護所長さんに相談した。

彼女は、一生懸命に、この悩みを共に考え、そして、答えてくれた。

 

明日、日曜日で仕事休みですけど、お風呂してみましょうか?と。

 

患者さんの奥さんにそれをお伝えすると、涙を流して喜ばれた。

医者が何も出来ず、薬も飲んでもらえず、何の役にも立たない中、

訪問看護師さんは、患者さん・ご家族に命の救いの手を差し伸べられる。

出来ることはないけど、明日、僕もそのお風呂手伝って来ようと思う。

 

 

今この国は、大きな分岐点だ。医者として、何をすべきか。

患者さんの灯火になりたい。今日一日自問自答していた。

 

先生、私ね、もうね主人の最期を看取る覚悟をしたの。

彼がね、家に居たいって言うんだから、そうします。

お願いします。家で出来る限りの事してやってください。

 

医原性の原因で最期を覚悟する。どんなに悔しいことだろう。

 

 

いつかまた匂いが感じられるまで。

未来を僕ら灯火で照らしていくから。

良かったら聴いてください。

 

 

 

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Source: 兵庫県三田市の在宅療養支援診療所「たなかホームケアクリニック」

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