『死』の壁。越えるのに必要なのは愛。

医療機関

人生の最終段階のお看取りの過程において、病気の種類に関わらず、

お薬なんかではどうにもできない壁、いわゆる『死』の壁がある。

 

『死』の壁を越える時、終末期鎮静なるものを行うことがあるらしいのだが、

僕の知るザイタク医療の現場では、あまりそんなことは目にしない。

 

母がこんな苦しそうな顔するなんて思ってもいませんでした。

せんせい、いま、母は苦しんでしょうか?何かしてやれることは?

 

この壁の時期になると、お布団や服までも

重たそうに払い除けようとしたり、

服を開(はだ)けてしまったりされる。

その払い除ける時のお顔は確かに苦悶表情に見える。

 

お布団を軽いタオルケットにしたり、

パジャマのボタンを上まで留めず、外したり、

身体を覆うものを少し軽くしたりして取り除くと

笑顔が見られ、目を開かれ、娘さんやお嫁さんのお顔を、

じっと見つめられる。そこで彼女らは優しくお声をかける。

 

「お母さん、安心してね。今日も大好きな看護師さんも、

今はこうして先生も、来てくれてもう大丈夫よ。安心ね。」

その声を聞かれると、ご本人は穏やかな表情になられ、

また、スーッと眠られるように目を閉じる。

ここに、お薬なんかでの鎮静は必要としない。

 

お家という空間と、

愛する娘さんとお嫁さんの声と、

彼女らが握る手のぬくもり。

 

 

 

先生、遠方の息子も、昨日も来てましたけど、

今度は、いつ駆けつけようか悩んでいるんです。

 

帰りがけにお嫁さんがお尋ねになる。

 

息子さんにとっても大切ですが、お母さんにとっても息子さんの声、

すごくすごく大切です。ぜひ今からでも、もう一度来てあげてください。

 

 

人が人として、その時を知り、覚悟を持って、ちゃんと関われば、

お薬なんか要らない。壁さえ越えれば、こんなにも静かで穏やかで優しい。

 

 

このタイミングのこの訪問。

忘れていた感覚を取り戻しつつある。

これは僕の話し((笑))復活。

 

良かったら聴いてください。

 

 

 

 

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Source: 兵庫県三田市の在宅療養支援診療所「たなかホームケアクリニック」

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