乳がんの手術をしてから、
苦手になったものがある
それは、自転車
そして、ショッピングカート
引いたことがないけれど、
おそらくスーツケースも無理そうだ
（但し、左手使用の場合に限る）
そう、“ガラガラ”系
ガラガラ、ガタガタ、ゴトゴトと、
腕に響くものが駄目になった
それは乳がんの手術から
4か月経った頃だっただろうか
術後、初めての自転車
1月に受けた手術
雪融けと暖かくなるのを待ち、
乗ったのは5月に入っていたと思う
自由の利かない左腕
「危ないからやめなさい」
と、止める母に、
「大丈夫」
そう言い残し走りはじめた
が、アスファルトのガタガタが
左の二の腕に響き、
私は悲鳴にならない野太い声を発した
しかも、腕全体．．．
手のひらから指までが
じんじんと痺れた
ショッピングカートもそう
押していると、
ガラガラとした振動が
腕や手のひら、指に伝わる
痛痒いような、
なんとも説明のしがたい痛みだ
どうも、手術をしてから、
振動系は駄目らしい
そもそも、今でも、
咳をしても、
くしゃみをしても、
左腕にピリピリと痛みが走る
それはまるで、
電気が流れているかのような痛みだ
なので、自転車に乗るときは、
（今はもう乗らなくなってしまったが）
左手はハンドルに軽く添える程度
ショッピングカートも、
左手はあまり使わないようにしている
乳がんの手術って．．．
腋窩リンパ節郭清って、
こんな手術なんだ．．．と実感する
これも、命と引き換えにしたもの――
．．．ということになるのだろうか
わきの下が未だに痛んだり、
左腕の自由が利かなかったり、
腕に力が入らなかったり、
重いものが持てなかったり．．．
もうとっくに、
日常の中にあるちょっとした不自由
もうとっくに、
当たり前のちょっとした不自由
なのにそれが、
意外とトレスになっていると感じることがある
仕方がないのだけど
つきあっていくしかないのだけど．．．
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Source: りかこの乳がん体験記
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