僕らのカントリーロードはまだまだ続いていく。

医療機関

先生、なんで抗がん剤してる時から緩和医療ってないん?

病院の先生は知らんの?だって、連携室の人に言われんかったら、

緩和ケアなんて何なのかわからんし、断ろうと思っとったんよ。

もう死ぬの待つだけの時に、医療なんて役に立たん思うてたんよ。

だって、治験やなんやで、ほんと、色々プライベートや家族のこと、

話したくないこと、たくさん話しても、結局、適合せえへんかったら、

抗がん剤出来んし、嫌んなるやん。あれは一体何やったん?って。

医療なんて私達のこと、どうせコンビニのおにぎり扱いよ。

 

彼女は真剣な目で、一生懸命に話してくれる。

 

でもね、私はラッキーだったの。

抗がん剤初めてしてくれた先生、ホント素敵で、

私の人生のことに親身になって考えてくれて、

それでここまで頑張ってこれたんよ。

彼女が転勤になって、抗がん剤の効き目も無くなってきて、、、

もう抗がん剤なんて要らんわ。私の人生は、太くて短くていいのよ。

そんな気持ちになったから、この前、しんどくてしんどくて、

もう死ぬって思ったの。それぐらいしんどくて、息ができんくて。

そんな時に、期待もしなかった、知りもしなかった、

在宅医療の先生に出逢えて。こんなに苦しかったのが楽になって。

ホント、ほんとのところ、もう少し生きたいって、思えるようになって、、、、

 

どうして、この緩和医療、知り合いのがん患者も、病院の先生らも、

私みたいにイロイロ訊く患者ならいざ知らず、ほとんど知らん気がする。。。。

そして、先生みたいな在宅の医者になんて出逢えてないような気がする。。。。

 

彼女は、

自分の治療のことはもちろんだが、

仲間や他のがん患者さんの治療にも、

思いを馳せる優しく美しい女性。

 

 

目の前の患者の苦しみに、耳を傾ける。心を寄せる。

こんなシンプルなことがいまだに出来ていない現実。

地域医療連携構築に邁進し、ここまで25年やってきたが、

はっきり言って、まだまだまだまだまだまだ、だ。

 

 

 

抗がん剤に挑戦する時も、

抗がん剤を止める時も、

抗がん剤をやめた後も、

患者さんの人生は続く。

 

抗がん剤の医者はもちろん必要だが、

抗がん剤に関与せず人生に関与する医者は、

ホントのところ、もっともっと必要だ。

 

だって、抗がん剤をするための人生ではなく、

あなたのための人生がこれからも続いていくんだから。

 

 

 

この道をずっと行こう。

あの町に続いている気がする。

 

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Source: 兵庫県三田市の在宅療養支援診療所「たなかホームケアクリニック」

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