先日の週末,岡山県の玉野市にプチ旅行をしてきました.
JR岡山駅から在来線で約1時間南下,直島や小豆島へのフェリーの発着する港が徒歩圏内にある終点の宇野駅で下車.観光地としては決してメジャーとはいえませんが,海沿いにある温泉施設の「玉の湯」を目当てに訪れる観光客は多く,今回の目的もそこでした.各種の室内・露天風呂はもちろん,広いリラクゼーションルームやマッサージルーム,レストランなどが揃った総合施設で,神戸にある「蓮」をもう少し古風にしたような感じでした.
駅から徒歩1分の所にあるスタイリッシュなUNOホテルに宿泊,創作イタリアンのような食事に舌鼓を打ち,目と鼻の先にある「玉の湯」に通いました.1日目はゆったりと温泉に浸かり,2日目には生まれて初めての酵素風呂と至極のマッサージで心身ともに癒されました.
初めての体験というのは何歳になってもウキウキするものです.
なお,意外にも外国人観光客も多く,京都や大阪などメジャーなところに行き尽くした彼等が,こういつたニッチなところを目指すのだと思います.
さて,先月,私はとうとう65歳になりました.
制度上はついに高齢者の仲間入りというわけです.先日は,他人事だと思っていた肺炎球菌ワクチンの予防接種券が送付されてきましたし,年金手続きの案内も来ました(笑)
最近の書店の話題書コーナーには,精神科医として有名な和田秀樹先生の「60歳からはやりたい放題」「70歳が老化の分かれ道]はじめ,老後の生き方や資産管理を指南する著作が所狭しと並んでいます.
世界に先駆けて少子超高齢化社会となり,失われた30年の中で何もかもが低迷,誰しもが老後に対する漠然とした不安に苛まれている我が国ならではの現象だと感じます.
私もこういった本の何冊かにざっと目を通しましたが,結局のところ最終的な結論は,以下のような点に辿り着きそうです.
① 何よりも心身の健康が基本
②周りのしがらみや人間関係に惑わされず,自分のやりたいことだけをやる.嫌なことを無理してやったり,嫌な人と無理に付き合う必要もない.
③いつまでも好奇心,新しいことに挑戦する気持ちを忘れない.
④過去の栄光や地位など捨て,初心に帰って若い人たちとも素直に交流し,むしろ彼等の柔軟な発想から学ぶ姿勢を持つ.
⑤容姿や服装に気を使ったり異性を意識する気持ち(変な意味ではなく)も忘れない.
そして私がもう一つ付け加えるなら,何よりもpositive mind,文字通りいつも前向きな気持ちで生活するということです.
私は仕事に出かける時は「きっと今日もいいことがある」,何か心配事が起こっても「大丈夫,明日は必ず良くなる」と口に出すようにして,決してネガティブなことを口にしないように心がけています.
街中を歩いている時,背筋をまっすぐ伸ばして前を向いて歩けているか,自分の立ち姿は溌剌としているかどうか気にしています.
人生は楽しいことばかりでなく,むしろ苦しいことや辛いことの方が多いと思います.
でも,苦しいことや辛いことも全ていつかは終わる,そして最後には自分の人生の糧になることを身をもって知りましたし,それならば最初からそう思えれば少しは気が楽になります.
一般的にnegative なイメージが強い加齢は,誰しも避けることはできない宿命です.ならば,少しでも楽しく,快適に過ごした方がよいに決まっています.
若い時に比べ,徐々にできないことも増えてきます.しかし,コップの水の話と一緒で,残っている能力がまだこれだけあるやないか,と考えた方がいいし,何よりも人生経験という大きな武器が出来ています.
私も若い頃はけっこうnegative 思考に陥ることもありましたが,決して順風満帆ではなかった人生を生きてきて,この境地に至りました.
そしてこの精神は,長年やってきた合気道を通じても叩き込まれました.
流派によって表現の違いはあるものの,身体中にエネルギーが漲っている状態,気持ちが前向きな状態を,私の流派では「気が出ている」といいます.
例えば大きな相手に技をかけようとした時,「いや〜,これはあかん,無理やろうなあ」と思う,つまり「気が引っ込んだ」状態だと,いくら稽古していても,それだけで相手のパワーに飲み込まれてしまいます.
しかし不思議なことに,ハッタリでもいいので,「大丈夫,必ず出来る」と思うだけでも技がかかるということを身をもって体験しました.
一流のアスリートがその能力を遺憾無く発揮できるのも「気が出ている」時だと思いますし,「元気があれば何でもできる」の名言で有名だった,先日亡くなったアントニオ猪木,そして熱いアスリート松岡修造などは,まさに気が出ている人の典型ではないでしょうか?
私の人生も残り3分の1といったところでしょうが,一日一日をこのpositive mind で大事に過ごしたい,そしていずれ訪れる今際の際には,本当に充実した人生だったと思えるように生きたいと思います.
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Source: Dr.OHKADO’s Blog
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