DPP-4阻害薬は『弱い』薬なのか_2

健康法

華々しく登場

2009年に大阪で開催された 第52回 日本糖尿病学会 年次学術集会は,さながら DPP-4阻害薬の発売記念前夜祭のようでした.

この年から発売されるDPP-4阻害薬の有効性だけをテーマとして特にシンポジウムが開催されたのです.
シンポジウムでは 以下の通り この有望な新薬の開発段階データが紹介されました.

第52回 日本糖尿病学会 年次学術集会 シンポジウム

シタグリプチンは後に商品名『ジャヌビア』,そしてビルダグリプチンは 商品名『エクア』として発売されました.

講演 9-3,9-4で紹介されたのは,これら2薬の欧米での臨床試験結果でした.

DPP-4阻害薬は,日本人糖尿病患者によくみられるインスリン分泌不全型に対して,インクレチン効果を最大限に発揮し,インスリン分泌を補うこと,そして このインクレチン効果は血糖値が上昇した時のみに働くので,原理的に低血糖を起こさないと解説されました.

ですから,なにより注目されたのは講演 9-6です.DPP-4阻害薬を日本人の2型糖尿病患者に投与した臨床試験の結果だったからです.

この講演の内容は,後日 論文として発表されています.

Iwamoto 2010

試験対象は20歳~75歳の日本人 2型糖尿病患者 473人でした. これをプラセボ,及び シタグリプチン投与(25,50,100,200mg)の5群に分けて二重盲検(double-blind)で12週の投与試験を行っています.

開始時点での平均HbA1cは7.49~7.74%でした. 12週にわたる投与で この結果が得られています.

Iwamoto 2010 Fig.2を翻訳

プラセボ対比で 約1%のHbA1c低下を達成しています.(Baselineからの対比では 0.41~0.76%の低下)
効果は投与用量に依存していますが,50mgの1日1回投与で十分でしょう.

しかも それまで主力であったSU剤では 頻発する低血糖の発生率が,DPP-4阻害薬では プラセボと有意差がなかったのです.たしかに この薬自体は低血糖を起こさないと言えます. それ以外の副作用もほぼ皆無というすばらしい成績でした.

この結果を見て,糖尿病を治療する全国の医師の期待が高まったのも至極当然のことでした.

この時点での糖尿病薬の主役は SU剤であり,血糖値を下げようとして投薬量を増やすと低血糖が頻発していました. しかも長年投与を続けていると,次第に投与量を増やしても効き目が悪くなる(=二次無効)に悩まされていたからです.

[続く]

 

 

 

 

 

Source: しらねのぞるばの暴言ブログ

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