「あんた拝みに来たんか?」
僕のことがお坊さんに見えたのか、
それともピンコロ劇通りに葬儀屋さん?!
「まだもう少し早いかなと思うんですが。」
ということで、今日で2日目の点滴を行った。
医者は勝手なもので少しの点滴で命を伸ばそうとする。
と言うか、極度の脱水で、排泄も喀痰排出も困難となっており、
口腔内環境も乾燥傾向で、唾液も出ず、声も出しにくい状況で、
穏やかな命を最期に少しでも提供したいというのが本音の点滴。
この点滴の意味について、各方面から、賛同と反対の声が上がる。
まあ、ちょっとやってみようって感じではなく、極論が渦巻く。
そんな中、少しの点滴と体位ドレナージ習得にて、唾液の分泌もあり、喀痰排出も良好になり、
また、胸郭運動や腹部腸蠕動、循環動態も、若干改善し、手指チアノーゼも若干軽減。
そのお陰で、ご本人の意欲も少し改善し、意思表示も、発声で可能となってきた。
「自然の摂理というものやからな。点滴はもう嫌やなあ。」
意思表示を可能とする点滴を拒否したい意思表示。
さてと、皆様。やはり、意思表示、つまり、発声によるリビングウィルを尊重し、
はい、そうおっしゃるんですから、と、安易に点滴加療を中止すべきでしょうか?
だけども問題は、、今日の誤嚥。痰を出せないこと。
今日を穏やかに過ごす為の挑戦をしないことが問題だ。
と、自然の摂理に逆らっているかどうかわからないが、
医師である僕は、烏滸がましくも思っている。
この点滴があったおかげで、命が穏やかに繋がり、
退院後4日目の今日の訪問入浴が可能となった。
お孫さん介助による入浴が可能となったことだけは、
付け加えておきます。素晴らしい入浴の時間でした。
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Source: 兵庫県三田市の在宅療養支援診療所「たなかホームケアクリニック」
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