「先生、逝くのまだ早いよ」

朝は-14℃だと思えば、
日中は+11.5℃

そして今日は吹雪

さらに
あしたの朝は、-20℃の予報

あさっての最高気温は+15℃...

まぁ、“春が近い”ということだろうか

いや、すでにおとついから
体調不良である

そんな朝

いつものように朝刊に目を通す

「え!?」

それは、お悔やみ欄の一面

見覚えのある名前がそこに載っていた

「先生だ!!」

私も母もがん治療でお世話になった、
放射線科の先生

「いや、そんなはずは...。
 同姓同名とか...」

と、何度も見直すも、
やはり先生のようだ

初めての先生の受診は、
まだ入院中のとき

乳房を切除してから13日目のことだった

外科の主治医に、

「そろそろ放射線科、受診しようか」

そう言われ、
准看護師さんに連れられて
放射線科に行った

病衣のまま
院内を歩くのが恥ずかしかったのを
今でも強く覚えている

「まだ赤いね。痛いでしょ。
 今、放射線を当ててしまうと
 炎症を起こす可能性があるので、
 治療は1週間後にしましょう」

診察の結果、先生にそう言われたが、
“1週間後”なんて、
赤みも痛みも引く気がしなかった

先生の第一印象は、“怖い先生”

ちょっと苦手なタイプのおじさん先生だ

が、このとき、
本当は“優しい先生”だということを
私は見抜けていなかったのだ

  ☆詳細は下記へ

それから2年が経ち、
『がんサロン』が開設された

あれは、サロン何回目だっただろう

先生がひょこりサロンに現れたことがある

医師が自らサロンに来るなんて驚いた

やはり患者思いの
優しい先生のようだ

そして何度か参加してくれたある日、
私が毎月体験記を執筆している、
『がんサロン通信』(『がんサロン』発行)を
私に見せながら、

「これ、誰書いてるの? おもしろいね~。
 5人分くらいの体験してるね。
 おもしろいわ~」

と、敢えて言ってきた

近くにいた看護師さんは私のがん体験を
「おもしろい」と言ったことに
ハラハラしているようだったが、
私は先生がそんなふうに言ってくれたことを
ありがたく思った

なぜなら、
『がんサロン通信』を
先生が見てくれているということ

そして、敢えて、「おもしろい」と
突っ込んでくれたこと

ほかの医師や看護師さんなら、
絶対にこんない方はしないだろう

「先生? “明細胞がん”って、
 放射線効かないんですよね」

と、何度聞こうと思ったかわからない

  ※“明細胞がん(クリアセル)”は、
   私の乳房にあった、
   2種類のがん細胞のうちのひとつで
   稀ながん細胞

   “化学療法も放射線治療も効果がない”
   とされている

が、『がんサロン』は、診察室じゃない

それにみんなにも聞かれてしまう

聞きたい思いをいつも我慢していた

こんなこともあった

それは、私と同年代の女性が
乳がん治療で
放射線科に通っていたとき、

「“あなたと同じように若い人が、
 こんなふうに頑張ってるよ”と、
 放射線の先生から
 『がんサロン通信』を渡されたことがある」

と、その女性本人から聞いたことがある

ある日のサロンでは、
久し振りに突然現れたかと思ったら、
私の顔を見るなり、

「お、生きてたか」

と、随分な挨拶

周囲のサロン参加者のおばさまたちは

「がん患者になに言ってるの?」

と、言わんばかりの顔をしていたが、
私は、

「先生より長生きするもん!!」

と言い返すと、先生は、

「それくらい元気があったら大丈夫だ」

と言ってくれた

普通なら驚くようなことだけど、
とっても心の優しい先生なのだ

大きな病院は、医師の入れ替わりが激しい

が、こんなに長く、
この病院にいてくれたこと、
患者からすると本当にありがたい

それに、先生がこの病院に
放射線を入れてくれたとも聞いている

何冊も書籍を出版しているとも
聞いたことがある

「すごい先生だったんだなぁ...」

と、思った

そんな先生が、
こんな田舎地方の病院にいてくれたこと、
本当にありがたかった

先生

早いよ

逝くの、まだ早い

私、

「先生より長生きするから」

って言ったけど、
あのときはまだ本当にそうは思えなかった

あの強がりを引き出してくれたのは、
先生

そして本当に先生のほうが先に逝った

でも早い

まだまだ、患者さんいっぱいいるよ

まだ先生にお別れはできない

でも、ありがとう

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Source: りかこの乳がん体験記

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