両親の残した事象の後片付けが、今も続く。
そんな中、両親の介護を思い出していた。
母は、父や弟に、介護生活になったら、
いつも、施設に入れるよ、と言われ続け、
憤慨していた。そして、不安を口にしていた。
私は病気には絶対ならないし、介護も必要ない。と。
そんな中、パーキンソン病を発症し、
ある日、父の診療の手伝いの最中、
診療所スタッフルームで転倒し大腿骨骨折。
その悔しく悲しい気持ちの跳ね返りで、
何としても在宅生活自立を目指した。
介護保険施設に入れられたくないから。
今、病気を患い戦う人たちの傍に、
いさせていただき、いつも思うのは、
その悔しい気持ち。その悲しい気持ち。
どこにもぶつけることができない悲しい気持ち。
自分自身の体が思うように動けなくなってきていることを自覚され、
自分自身の体が壊れていくのも見て分かり、さらにそこに痛みが加わって。
やっぱり、先生、来てください。
先生来てくれたら、落ち着くと思うんです。
と、先ほどお電話があって、夜にゆったり往診。
大して役にも立たない医者の僕がお伺いすると、
彼の気持ちの痛みが、少し和らいだのだろうか、
小さくいびきが聞こえだし、奥様もちょっと安どの表情に。
あの日あの時、母がずっと思っていた悲しい気持ち。
母のお陰で、患者さんの悲しい気持ちが少しわかるようになった気がする。
彼の足の痛みが、今晩、少しでも穏やかでありますように。
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Source: 兵庫県三田市の在宅療養支援診療所「たなかホームケアクリニック」
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