“完治”ってあるのだろうか...。

「今年で30年経ちました」――

先日、そんなことを言っていた、
あるがん経験者の女性

「じゃあ、もう
 (再発)大丈夫なのかな?」

それが私の返事だった

そう

がんは何年経っても、“完治”の実感がない

10年経っても、20年経っても

乳がんに至っては、
20年過ぎても再発することもある

きっと死ぬまで完治したかどうかなんて
わからないのかもしれない

手術をして退院をすると、

「もう大丈夫なんでしょ?」
「もう治ったんでしょ?」

と、言われることがある

がんは、
手術をしてからが本当の闘いなのに

がんは、
“手術して終わり”じゃないのに

がんは、
これからの生活が大変なのに

再発の不安もずっとつきまとう

大丈夫かどうかなんてわからない

「治った」なんて言えない

みんな明るく日常を送っているけれど、
心の中では大きな不安を抱えている

本当は
得体の知れない心の闇と闘っている

“がん”って、そういう病気

「早期なら完治も可能」

と、言われるようになった時代

それでも再発は、
完全には防ぐことはできない

再発したら、完治はない

だからがんは怖い

だからがんは難しい

私のがんは、珍しいものだった

進行も極めて遅いがん細胞

「乳がんの完治は20年」と
言われているけれど、
たぶん私の完治は“25年”だと考えている

現在、手術から17年半

もちろん再発の不安は消えてはいない

その不安は小さくはなったけれど、
たぶん、一生消えることはない

時々、乳がんであることに疲れるよね

それは、気持ちだけではなく

実際、腕も動かないわけで

乳がんから逃れたくでも
逃れられない現実がある

残された手術の傷

痛みもまだある

おっぱいも生えてはこない

左腕が少し自由が利かないのも一生もの

なのに“完治”って言われても、
なんだかピンと来ないのだ――

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Source: りかこの乳がん体験記

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