このままどこか遠く連れてってくれないか。

医療機関

終末期リハビリを考える時、

いつだって目に浮かぶのは、

人工透析を死ぬ日までした祖父の

外来リハビリ平行棒での歩行訓練。

 

 

祖母に先立たれ、祖父は一人暮らし。

人工透析に週3日通い、外来リハビリで歩行練習。

長男と折り合いが悪く長女だった母も祖父が怖かった。

誰とも一緒に暮らしてもらえず、寂しく一人暮らしだった。

当時篠山リハに通い始めた僕は祖父の家に夜だけ泊まってた。

 

 

で、母や親戚はお盆やお正月のたまにしか祖父の顔をみない。

当時は携帯もラインも何もない時代。話もほとんどしてない。

 

宝塚の祖父の家ではなく、茨木の家に母と二人戻る時、

リハビリ平行棒の間からこちらをずっとじっと見ている。

 

寂しそうに、でも必死に、ワシを見てくれよ、

なあ、このままどこか遠く連れてってくれないか。

もうワシはお前らに逢えないかもしれんのやぞ、

そんな悲しい苦しい気持ちをどうしてお前らは、

わかろうとしてくれんのや。なんで知らんぷりなんや?

って感じで平行棒の間から必死に手を振る祖父の姿。

 

そして、それから間もなく、

結婚直前の妻を初めて祖父に紹介するため、

宝塚の家に連れて行ったその日、下血。

市立病院に救急搬送、そして、緊急人工透析。

そのまま、帰らぬ人となった。。。

どこか遠くに行ってしまった。。。。

 

いつだって、終末期リハビリを考える時、

リハビリ平行棒の祖父の手を振る姿が目に浮かぶ。

 

 

あの平行棒の間から手を振る祖父。そこには、

「未来への思い」や「未来への行動」のヒントがある。

それが終末期リハビリテーションだと今思っている。

 

まさに終末期リハの歌。

『日曜日よりの使者』。

良かったら聴いてください。

 

 

 

 

 

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Source: 兵庫県三田市の在宅療養支援診療所「たなかホームケアクリニック」

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