どうも、ヨウ-P(@s_y_prince)ことYO-PRINCEです!
いろんな切り口からカイゴのヒントをお届けしています!
今回は、こちらのツイートをもとにした認知症のBPSDへの対応についての記事です。
認知症が重度な方の不穏症状への対応
すぐ忘れてくれるからこそリセットしていろんな対応が試せます☝️
アカンかったらテイク2、テイク3…🎬
明るいバージョン
優しいバージョン
なんたらバージョン…どれかがハマることがあります🆓️#介護にまつわる小さな引き出し
— ヨウ-P (@s_y_prince) 2020年1月30日
認知症の方が不穏になられたときや拒否があるときの対応は試行錯誤です。
何がハマるか分かりません。
「介護×演劇」で、認知症のBPSDにどのように向き合うべきかを書いていきたいと思います。
※BPSD:認知症の行動・心理症状。以前は問題行動と言われていた徘徊や暴力等のこと。
認知症ケアはやり直しができる!
認知症ケアの面白いところの一つは、やり直しができるというところです。
そして、やり直したことで結果が変わってくるということです。
それは、認知症は「忘れる」という記憶障害があるからこそ成せる業です。
「忘れる」ということは悲しいことではありますが、「忘れる」ことと上手く付き合って介護が楽しくなれたら、そのほうが素敵なことだと思っています。
以前にこんな記事を書いています↓
「忘れる」ということを、「力」だと捉えてみてはどうでしょうか?
私たちがつらく悲しいときに、どれだけ悩んでも答えなど出ないことがありますよね。
そんな時に助けてくれるのが「忘れる」という力なんです。
「忘れる」力があるからこそ生きていけると言っても過言ではありません。
認知症ケアにおいても、「忘れる」という力は使うべきです!
認知症の方が不穏になられたときや拒否のあるときは、どう対応するかを考えながら対応することと思います。
たいがいの場合、まずは失敗しますよね(^^;
失敗しても、その対応を認知症の方は忘れてくれます。
人それぞれ忘れてしまう時間の間隔は違いますが、その時間の間隔さえ知っておけば忘れてしまった頃に対応すれば見事に再チャレンジできます。
同じ対応で少しアレンジしてチャレンジするも良し!
全く違う対応でチャレンジするも良し!
違う職員が対応してチャレンジしてもかまいません。
すると、結果が変わってくることを体感でき、そうした試行錯誤が認知症ケアのスキルアップにつながります!
演技力と台本で勝負する認知症ケア
(あっ!認知症のAさんが外に出ようとしてはる!)
Aさん!
どこか行かれるんですか?
はっ~!
なんでお前にどこ行くか言わんなんのや!
残念、失敗です…。
でも大丈夫です!
やり直しましょう!
冒頭ツイートのとおり、認知症の利用者が応じてくれないNGが出たとしてもテイク1、テイク2にチャレンジすればいいんです!
いきなり声をかけたのがアカンかったんかなぁ~…。
そうです!
そんな感じで演技に修正をかけていきます。
(さりげなくAさんの横を歩いて、さりげなく声をかけてみよう…。)
あっ!
Aさんじゃないですか?
どこに行かれるんですか?
はっ~!
なんでお前にどこ行くか言わんなんのや!
全く同じ結果になってしまいました…。
声かけが突然すぎたのではないかと考え、さりげない声かけを試みたわけですね。
これでうまくいくこともありますが、Aさんの場合はダメでした…。
(結局Aさんはどこに行くのか聞かれるのが嫌なんだな…)
Aさん!
寒いですね~!
そやな~。
寒いの~。
お見事ですね!
一歩前進です!
こんな風にして忘れる力を利用しながら、テイク1、テイク2…とやっていくうえで、間違いに気づき修正していくことができます。
その利用者の思いが見えてくるから修正もしやすいんです!
演技だけでなく、利用者の思いに合わせて利用者との関係性も変えてセリフも変えていく!
こうしたやりとりはドラマや映画の演技でテイク1、テイク2…と演技をやり直していく光景と似ています。
演者のいいアドリブがあれば採用されることもあります!
演者から監督に提案することもあると思います。
(台本の)ここなんですけど、さりげなく利用者のそばに寄ってからやってみてもいいですか?
いいんじゃないの~!
やっちゃいなよ~!
そうなんです!
認知症ケアは演者であり監督なんです!
自問自答しながら、台本も変えてやっていくわけです!
そんな感覚で認知症ケアを考えると面白いと思いませんか?
テイク1、テイク2、テイク3…。
失敗してもNGだと思えば笑えてきます。
いやいや…、こんなに大変なのに…。
笑えるわけねーよ(ー_ー;)
確かに笑っている余裕などないのが認知症のBPSDです…。
でも、真正面から向き合っていてもどうにもならないのがBPSDなんです。
余裕を作って冷静に状況を分析することが求められます。
対応する側にどうやって余裕を作るかを考えることは大切なことで、そのための一つの方法と捉えてもらえたらと思います。
試しすぎ注意!「感情の記憶」への配慮は必要??
認知症ケアにおいては失敗しても何度もチャレンジできると書きました。
では、何度までチャレンジできるんでしょうか?
忘れるんだから、何度でも大丈夫っしょ!
いえ…、そこは限界があるもんなんです(^_^;)
認知症の記憶のなかには「感情の記憶」というものがあります。
それは認知症において比較的保たれる記憶で、言われたことは忘れても、そのときの感情は残っているものなんです。
つまり、失敗のたびに不快な感情が残り、蓄積されていく可能性があるということです。
感情の記憶の残り方は個人差があるので、その都度利用者の心の動きを観察するしかないと思います。
その上で、引き際を考えながら、監督としての自分からこう言い聞かせてください。
今日は何回やってもアカンわ!
とりあえず休憩や~!
認知症の方が感情が高ぶっているときは、いったんそっとしてみるのも有効なことがあります。
いや、そっとしてみるべきです!
夫婦げんか中の夫婦のどちらかがいったん家出したら、後から落ち着いて話ができるのと一緒ですね(^_^;)
監督としての自分で押したり引いたりしながら、なるべく演じやすいタイミングを見計らって最高の状態で演技されることをオススメします!
「感情の記憶」についてはこちらの記事もご覧ください↓
名演技は評価して日常につなげてこそ認知症ケア!
認知症のBPSDへのこうした対応は、実は認知症ケアではありません。
認知症ケアというのは、環境要因によって現れるBPSDに対して環境を整えることです。
ここで言う環境とは、物的環境だけでなく人的環境も含みます。
周囲の人たちの関わり方も含まれるわけです。
BPSD出現の要因となっているこうした環境をどうやって整えていくかは、不穏時の対応にもヒントがあることが多いんですよね。
なので、不穏時の対応を評価することを忘れないでください。
いや~!
Aさん、あれだけの興奮状態をよく落ち着かせることができましたね~!
どうしたんですか?
え?
よー分からんけどうまくいったわ(-_-;)
これでは、ダメなんです…。
ただ何となくで対応してしまっては、せっかくの素晴らしい対応が「たまたま」でしかなくなってしまいます。
そうではなく、監督として利用者と自分のやりとりを俯瞰的に見ながら、その状況に合わせて台本を変え、演出を施し、演じなければいけません。
そして、失敗したら演技の評価をして、何がいけなかったかを分析し、またやり直すわけです。
監督としての自分は、当然のことながら利用者側の演技(?)にも注目しています。
表情や言葉、口調や行動など…。
それらから利用者の感情を読み取ったり、目的を捉えたりします。
そうしていると、利用者の思いが見えてくるんですよね。
利用者の思いが見えてくると、不穏にならないように日々の環境を整えることにつなげることができていきます。
不穏時の名演技(対応)は、日々の不穏にならない環境作りにつなげることができて初めて「認知症ケア」になるわけです!
まとめ
以前に菅原直樹さんという方の「老いと演劇のワークショップ」に参加させてもらったことがあります。
※こちらは菅原直樹さんが設立された「老いと演劇」オイ・ボッケ・シのホームページです。参考までに…↓
「介護と演劇の相性はいい!」
菅原直樹さんのこの言葉は、私の介護の経験のなかでも強く感じてきたことです。
ワークショップに参加させてもらって、その相性の良さを体感することができました!
私が介護の仕事を始めた頃に、「介護士に演技力があれば鬼に金棒だな」と思って、職場で演劇部を作ったことがありました。
認知症の利用者さんの不穏時の対応に幾度となくその演技力が役立ちました。
勿論、不穏にさせないためにも役立ちました。
特に不穏になられている利用者を見事に落ち着かせたときは、我ながら「スゴイな」と自画自賛したりしていたのですが、何かが違う…と思っていました。
これってただの火消しなだけでは…。
いい対応をしながらも、このままで認知症ケアにはならない…。
どうすべきか??
その答えをこの記事に書かせていただきました。
その答えは、前述のとおり…
不穏時の名演技(対応)は、日々の不穏にならない環境作りにつなげることができて初めて「認知症ケア」になる!…です!
名演技をただの火消しで終わらせないことを意識しながら、これからも演技力に磨きをかけていきたいと思います!
Source: すべての道は介護に通ず【暮らしかるモダンなブログ】
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