【バレーボール代表の大麻問題】大麻とドーピング検査の違い

代表ならドーピング検査あったハズでは?
日本バレーボール協会(JVA)も「大麻などの違法薬物を念頭に置いた尿検査や所持品検査はこれまで行っていなかった」と記者会見で不備を認めています [1]
ドーピング検査の仕組みと、今回の事件で露呈した盲点は以下の通りです。
1. ドーピング検査の目的のズレ
  • 大会や合宿での尿検査: 競技能力を一時的に高める物質(筋肉増強剤や興奮剤など)を見つけ出す「ドーピングコントロール」を目的に実施されていました。
  • 大麻の扱い: 大麻(THC)は世界アンチ・ドーピング機構(WADA)の禁止物質に含まれていますが、原則として「競技会内(試合当日など)」の検査対象であり、練習期間や日常の抜き打ち検査(競技会外検査)では検出を目的とした積極的なスクリーニングが行われないケースがありました。 [1, 2]
2. 「麻薬取締」を想定していなかった協会
JVAの南部正司技術委員長は会見で、「尿検査はドーピング目的のものはあったが、大麻などの違法薬物を念頭に置いていなかった。改めて課題がある」とコメントしています。代表合宿中の選手の持ち物を調べる「所持品検査」の習慣もこれまでありませんでした。 [1]
つまり、「アスリートとして競技違反(ドーピング)をしていないか」はチェックしていても、「一市民として刑事犯罪(違法薬物所持)を犯していないか」という視点での監視体制は敷かれていませんでした。
3. 今回の逮捕を受けた緊急対応
今回の合宿中逮捕という異例の事態を受け、JVAはただちに以下の対応を発表しています
  • 即座の全員検査: 招集されている他の代表選手・スタッフ全員の所持品検査尿による違法薬物テストの実施(所持品については全員問題なしと確認済み)。
  • 今後の体制改善: 今後はチームドクターと相談しながら、定期的に違法薬物をターゲットにしたスクリーニング検査の導入を検討していく方針です。 [1, 2]
今回の事件は、これまでの「スポーツにおけるドーピング検査」の網をすり抜けて私生活で違法薬物に手を染めていたという、協会のコンプライアンス管理の盲点を突いた形となっています。

ドーピング検査はあくまでも 筋肉を増強するような「パフォーマンス向上」薬物の検出であり

犯罪を問う検査ではないという事ですね。
アンチ・ドーピング検査自体は大会の有無に関係なく、1年を通じていつでも・どこでも不意打ちで行われる「競技会外検査(抜き打ち検査)」が基本として存在します。 [1, 2]
しかし、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)のルールでは、「大麻(THC)」は大会外(競技会外)の抜き打ち検査では検査・禁止の対象になっていません [1, 2]
この複雑な仕組みについて、疑問のポイントを整理して解説します。
1. 抜き打ち検査はあるが「大麻」はスルーされる
アンチ・ドーピングの禁止物質は、大きく2つのカテゴリーに分かれています。 [1]
  • 常に禁止(大会外の抜き打ちでも検査する): 筋肉増強剤(ステロイド)、持久力を高める血液ドーピング、エリスロポエチンなど、日常的なトレーニング期に使うことで競技力を底上げするもの
  • 競技会内(試合期)のみ禁止: 大麻(カンナビノイド)、興奮剤、一部の麻薬、糖質コルチコイドなど。 [1, 2]
大麻は「試合期のみ禁止」の物質に指定されているため、たとえ日常の合宿や自宅に抜き打ち検査員(DCO)がやってきて尿を採取されたとしても、大会外の検体からは大麻の成分(THC)の有無を分析・検出するプロセス自体が行われません [1]
2. なぜ大会外は大麻を検査しないのか?
WADAの基準において、大麻が「試合の時だけダメ」とされているのには以下の理由があります。 [1, 2]
  • 競技力向上への直接的な影響: 大麻は筋肉を増強するような「パフォーマンス向上」を目的として日常的に使われる薬物とはみなされていません。
  • 試合時の安全確保: 試合直前や試合中に大麻の影響下(ハイな状態や認知機能が落ちた状態)にあると、激しい接触を伴うスポーツでは本人や周囲の選手に重大な危険を及ぼすため、試合当日(正確には前日23:59以降)のみ厳しく禁止されています。
  • プライバシーと法的扱いの地域差: 世界には大麻が合法化されている国や地域もあるため、WADAは「私生活における大麻使用」をスポーツのルールで24時間監視・処罰することは避ける方針をとっています。 [1, 2, 3, 4, 5]
3. 今回のケースの盲点
佐藤容疑者が「代表のドーピング検査をすり抜けていた」と言えるのは、まさにこのルールの隙間にいたからです。 [1]
  1. 日本代表の活動中や日常のクラブ活動中に、もしJADA(日本アンチ・ドーピング機構)の抜き打ち検査を受けていたとしても、大会外なので大麻チェックはスルーされていた
  2. 直近で国際大会(ネーションズリーグなど)の「試合当日」に検査対象に選ばれていれば陽性になっていた可能性は高いですが、その前に警察の捜査によって逮捕された [1, 2]
つまり、「アンチ・ドーピングの抜き打ち検査」は厳重に行われていましたが、その網は「競技の不正」を暴くためのものであり、「私生活の刑事犯罪」を暴くための網ではなかった、というのが今回の事態の真相です。 [1, 2]
スポーツのルール(WADA)の限界が露呈した形ですが、法律で大麻が厳しく禁止されている日本において、協会側の「アスリートである前に一社会人としての法令遵守のチェック」が甘かったという批判が出るのは当然と言えます。

JADA(日本アンチ・ドーピング機構) が検査項目を増やすのか 協会が別に行なうのか
結論から言うと、JADAの検査項目は変わらず、日本バレーボール協会(JVA)が「独自のスクリーニング」として別に行います [1, 2]
JADAと協会の役割の違い、および今後の具体的な検査方針は以下の通りです。
1. JADA(日本アンチ・ドーピング機構)は項目を増やさない
JADAは世界アンチ・ドーピング機構(WADA)が定める世界共通の国際基準(WADAコード)に従って検査を行っています。 [1, 2]
  • 独立したルール: 日本独自の事件を理由に、JADAの一存で「大会外(日常)でも大麻を検査項目に加える」といったルール変更をすることはできません。
  • 目的の違い: あくまで「スポーツの公平性(競技力向上違反)」を取り締まる組織であるため、「社会的な刑事犯罪(大麻所持)」の取り締まりは彼らの管轄外となります。 [1]
2. 協会(JVA)が独自に「別枠の薬物検査」を行う
今回の記者会見でJVAの幹部が明言した通り、協会がチームドクターと相談しながら、独自に違法薬物をターゲットにした検査(スクリーニング)を導入・実施していきます。 [1, 2]
すでに動き出している具体的な対応は以下の2点です。
  • 即座の尿検査: 逮捕を受けて、現在合宿に参加している他の代表選手・スタッフ全員に対して、協会独自で薬物の陽性反応が出ないかを確認するための尿検査を早急に実施する方針です。
  • 所持品検査の徹底: 警察の捜査とは別に、代表合宿地(味の素ナショナルトレーニングセンター)で選手全員のバッグなどの所持品検査をすでに独自実施しました(違法なものは見つかっていません)。 [1, 2, 3]
3. 今後のスポーツ界の流れ
アンチ・ドーピング検査(JADA)の網をすり抜けてしまう以上、今後はバレーボール界だけでなく他の競技団体でも、不祥事防止のために「協会やリーグが自己防衛として、独自に定期的な違法薬物チェック(毛髪や尿の検査)を導入する」という流れが定着していくとみられます。
協会の独自検査により、まずは他の選手たちの身の潔白を証明し、ファンに安心してもらうための「リスタート」を切る形となります。 [1, 2]
この協会の今後の具体的な検査体制や、他の代表選手たちの動向について、さらに気になる点などはありますか?
取り敢えずこの辺で。
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Source: 身体軸ラボ シーズン2

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