やさしい想い出。

しんしんと降り積もる雪...

3月に入ったというのに、
外はまるで冬景色だ

そんなきのうの朝方、
母の夢を見ていた

夢の中の母はあの頃のまま、
歳をとっていない

母が亡くなって、4年と7か月が過ぎた

同じ時期にお互いのがんがわかり、
同じがん患者として、共に9年半生きてきた

それだけに母の死は、
私にとっては大きな衝撃だった

そんな今は、母がいないことが当たり前になり、
母の笑い声が聴こえないことが普通になった

あのときのつらく哀しい記憶は、
いつしかやさしい想い出に変わっている

あのときの深い悲しみは、
いつしか過去のものに変換されている

街でよく見かけた、母によく似た後ろ姿

そのたび、「ドキッ」としたものだ

「もう母はいない」

そう理解するまでには、
どれほどの時間が必要だったか...

そんな私は、年々母に似てきている

笑い方...

ちょっとした仕草...

洋服の好み...

親子らしい母と娘ではなかったのかもしれない

が、紛れもなく、
血のつながった親子なのだ――

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Source: りかこの乳がん体験記

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