前回記事では,
- [糖尿病でメトホルミンを服用している人]
- [糖尿病だがメトホルミンを 服用していない人] 及び
- [糖尿病ではない人]
これら3群の間に腸内細菌に違いがあるのかを調べた結果をとりあげました.
この結果を見ると,糖尿病でない人に比べて,糖尿病だがメトホルミンを服用していない人は,腸内細菌の種類が少なくなっています.それに対してメトホルミンを服用している人は,細菌の種類が増えていることがわかります. ただし,そのパターンは非糖尿病と同じではありません.
そこで,メトホルミンを服用している人には,どんな腸内細菌が多いのか調べてみたところ;
アッカーマンシア・ムシニフィラ菌 (Akkermansia muciniphila)とブチリビブリオ菌 (Butyrivibrio)が多いことがわかりました.
アッカーマンシア・ムシニフィラ菌 (Akkermansia muciniphila)とは
消化管の粘膜表面は,ムチンというネバネバの糖蛋白質で自らを保護していますが,アッカーマンシア・ムシニフィラ菌は,そのムチンを餌として棲息する細菌です.ただし有害ではなく,動物実験ですが この菌が少ないと肥満・糖尿病にになりやすいことが見出されています.
ブチリビブリオ菌 (Butyrivibrio)とは
またブチリビブリオ菌は,短鎖脂肪酸である酪酸を産生する菌で,大腸内の抗炎症保護作用や,大腸がんの予防・悪化防止に効果があるのではないかと言われています.
ここでもメトホルミン
これらの菌が,血糖コントロールとどのような機序で関係しているのかはまだ研究中です.しかしメトホルミンの主作用は肝臓に直接働きかけて糖新生を抑制することだと長年信じられていたのですが,実は腸内環境を変えて,特定の嫌気性腸内細菌を増やしているという作用もあることがわかりました.
【腸内細菌 完】
Source: しらねのぞるばの暴言ブログ
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