「子どもをこの腕に抱きたい」と、思った日。

わたしは、赤ちゃんの重みを知らない

わたしは、赤ちゃんの匂いを知らない

わたしは、赤ちゃんの温もりを知らない

わたしは、赤ちゃんのやわらかさを知らない

わたしはこの腕に、赤ちゃんを抱いたことがない

テレビに映る赤ちゃんを観て、

「自分の赤ちゃんを抱いてみたかった...」

そんな感情が、突如、湧き出た

わたしは、

両親にも孫を抱かせてあげられなかった、

親不孝な娘である

「乳がんになって、ごめんね」

と、何度自分を責めたかわからない

子どもが産めなくなってしまったことは、

とうに吹っ切ったつもりだった

が、

どこか拭いきれない想いが残っていたんだな...

あのとき、乳がんを見落とされていなかったら...

もしかしたら、わたしはこの腕に

我が子を抱いていたかもしれない

そんな、ないものねだりをしてみる夜――

  人間だもの、

  そんな感情が芽生える日もあるさ...

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Source: りかこの乳がん体験記

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