どうも、ヨウ-P(@s_y_prince)ことYO-PRINCEです!
いろんな切り口からカイゴのヒントをお届けしています!
今回の記事は、新人介護士さんの介護技術の研修について書きたいと思います。
採用時の介護技術の研修のあり方は施設によって様々かと思いますが、私としてはまずは「基本的な考え方」を教えるべきだと思っています。
そんなの当たり前やん(^_^;)
食事も排せつもそれぞれにちゃんと基本を教えんとな~。
食事・排せつ・入浴…と、それぞれの介護技術の基本を教えることも大事かもしれませんが、私が大切にしたいとのは、すべての介護に共通の基本的な考え方です。
技術をいくら教えても、その考え方が分かってなければ意味ないんですよね…(-_-;)
持っている介護技術をただただ利用者に当てはめていくような介護になってしまうんです…。
というわけで、今回私が伝えたい「介護技術の基本的な考え方」がこちらです↓
第1段階:生活動作を細かく分ける
第2段階:環境を整えて自分でできるようにする
第3段階:自分でできないところを介助者が間接的に補う
第4段階:自分でできないところを直接的に補う
では早速、この「介護技術の基本的考え方の4つのステップ」を解説していきたいと思います!
介護現場の新人指導の悪しき実態!
まずは、介護現場の新人指導の現状を見ていきたいと思います。
介護現場は慢性的な人手不足に陥っている施設が多いですし、そうでなくとも十分に新人指導ができていると言える施設がまだまだ少ないのが現状です。
介護現場は新人介護士さんに早く自立してほしい…ただそれだけなんですよね…。
そのため、介護技術を教える際にどんなことが起きているかというと、こんな感じです↓
- 体で覚えろ!
- 知識を詰め込め!
では、その実態を見ていきたいと思います。
体で覚えろ!
「体で覚えろ!」と書いてしまうと、体育会系のイメージを持たれるかもしれませんが、そこまでいかなくとも、実態として「体で覚えろ」になってしまっていることがよくあります。
食事介助でも排せつ介助でも、介護技術の基本についてはもちろん教えるのですが、基本はそこそこで応用を教え始めることが多いんです!
介護技術はね~、基本はあくまで基本で、結局は個々に違うんですよ。
応用が大事!
利用者1人ひとり覚えるしかないから!
基本と応用を切り分けて教えてしまうことも少なくないんですよね…。
とにかく、早く新人介護士に自立してほしいので、利用者個々の介助方法をどんどん教えていくわけです。
この新人指導の目的は、とりあえず「動ける介護士」を育てることです。
でも、それじゃダメなことは、本当は誰しも分かっていながら、そうするしかないという感じです…。
知識を詰め込め!
というわけで、やはり基本知識は大切だということにたどり着きます。
そこにたどり着いた施設はどうするかというと、法人内での新人研修を整備し、「基本知識の詰め込み」を始めてしまいます。
今日は食事介助の基本を教えますね!
では~、今から排せつ介助の基本を実技ありで教えていきます!
私からは入浴介助を教えます。
先日の研修で教わったことも伝えられたらと思います。
1人で全てを教えることは大変なので、担当制で複数の職員が交代で講師を務める施設も多いのではないでしょうか?
そうなると、それぞれの講師の言いたいことがバラバラだったりして、教え方も違えば、教える視点も違ったりして、新人介護士は混乱してしまうことがあります。
そのうえ、自分が研修で学んだことを思いつきで教えてしまったりする講師も現れたり…。
極めて雑な「知識の詰め込み」が行われてしまいます。
この「知識の詰め込み」は、入社すぐに数日缶詰で行う施設もあり、新人介護士にとっては全く頭の中に残っていかないような実態もあるかと思います。
とはいえ、それだけたくさんの知識が必要なのが介護という仕事なんですよね…。
「体で覚える」「知識を詰め込む」という指導方法で、それらを身につけ成長する介護士さんも勿論おられます。
ただ、そうなると「考える力」が欠けてしまうことがよく起こるんです。
実は、介護で大事なのは「考える力」なんです。
どんな仕事でも当たり前のことなんですけど、「考え方」を最初にしっかりと押さえておくことが一番大切で、かつ、その「考え方」をできるかぎり手短に教えることが重要なのです!
勉強が嫌いな介護士さんにも、さほど介護に興味のない介護士さんにも、分かるように教えないといけません!
新人介護士さんもいろいろなので、「最低限これだけは押さえてほしい」ということを、誰でも分かるようになるべく簡単に伝えたいわけです。
それが、すべての介護に共通の「介護技術の基本的考え方」なのです!
介護技術の基本的考え方の4つのステップ
私が新人介護士さんに教える「介護技術の基本的考え方の4つのステップ」ですが、まずは最初にこう言い切ります!
これは、特養でもデイでも、どこで介護をしても共通の考え方です!
全利用者の共通の考え方です!
これは、とても大事なことで、介護業界においてはこんなことがよく起こるんです。
特養とデイは違うからな~。
特養ではそう教えてもらっているかもですが、グループホームの基本は違うので…。
基本がバラバラなんてありえないんですけど、大きな法人ではよくあることですし、法人が違えば当然のごとく違ってしまうんですよね…。
ですが、この「介護技術の基本的考え方の4つのステップ」は、どの職場であっても共通の考え方とし通用するものなので、安心して新人介護士に教えることができます。
揺るがない基本です!
では、4つのステップを解説していきたいと思います。
第1段階:生活動作を細かく分ける
食事介助も排せつ介助も、どんな介助でも、生活動作というのは複数の動作の組み合わせで成り立っています。
例えば排せつ動作ですが、以前にこちらの記事を書いているので、まずはご覧になってください↓
というわけで、まずはこんなふうに新人さんに教えましょう!
食事も排せつも入浴も、生活動作はいくつかの動作が組み合わさって成り立っているんですよ~。
「立つ」という動作を見ても、「足を引く⇒お辞儀をする⇒お尻が浮いてくる」という感じで複数の動作の組み合わせがあるんですね~。
こう伝えたうえで、実際に皆で考えてみてもらうと、より分かりやすいと思います!
こちらの動画では「10個に分けるとうまくいく!」と説明されています!
【 生活リハビリのコツ 】職員の介助がバラバラ?介護がうまくなるには、生活動作を10個に分けてみよう!『がんばらないリハビリ介護 第272歩』
ふむふむ…(^_^)
分かりやすいですよね!
とりあえず5個でも10個でもいいので、目標を決めて皆で出し合う作業をやってみましょう!
自分の身体で考えればいいだけのことなので、新人研修にぜひとも導入したい手法ですね!
第2段階:環境を整えて自分でできるようにする
さて、生活動作をいくつかの動作に分けることができたら、その一つ一つの動作を自分でできるように環境を整えましょう!
うちは特養なんで、ほぼ全介助なんですよ~。
この工程はあんまり意味ないですわ~(^_^;)
全介助の利用者が多い事業所では、この工程をスルーしがちなんですけど、どんな状態の利用者であっても、この工程は絶対にたどるようにしましょう!
そもそも、介護というのはまずは「自立支援」なんです。
なぜ「自立支援」が大事なのかというと、こういうことです↓
食事は自分で食べたほうがおいしい!
排せつ・入浴は本来他人に見られたくない1人で行う行為!
だから、なるべく一人でできるようにするわけです。
生活動作をいくつかの動作に分けたうえで「自立支援」を考えると、「出来る力」が見えやすくなりますよね。
この「出来る力」のなかには、「環境を整えれば出来る」というものがあるわけです。
自助食器を用意したり、トイレに手すりをつけたり、お風呂にシャワーチェアーを用意したりするわけです!
ほぼ全介助の利用者さんであっても、生活動作を分けてみると、「出来る力」は見つかるかもしれないと捉えましょう!
オムツ交換でお尻を上げてもらうことだって立派な「出来る力」なわけですから!
このお尻を上げる動作だって、マットは固いほうがお尻を上げやすいのであれば「環境を整えれば出来る」行為なわけです!
第3段階:自分でできないところを介助者が間接的に補う
生活動作をいくつかの動作に分けて、その一つ一つの動作の環境を整えて「出来る力」を増やしていったら、ここからが介護技術の出番です!
第2段階までは、そこに介助者が立ち会う必要はありません。
ここからは、介助者が生活動作の場面に立ち会うことになります。
ですが、まだ手は出しません!
介助者がすることは、間接的に自立を補うということです。
声かけをすればいいってことでしょ??
そうですね!
自分1人でできなかった生活動作に対して、声かけで動いてもらえるよう働きかけます。
特に認知症の方の場合は、声かけが動くきっかけになることがありますよね。
ちなみに、間接的に補う方法は必ずしも声かけとは限りません。
指差しをして動いてもらったり、介助者がその場にいるだけで動く気になってくれることもあるかもしれません!
とにかく、直接的な介助をする前に間接的に補える方法を考え、出来る限り自分で動いてもらおうとするわけです!
これが、「声かけ」「見守り」という介護技術です!
第3段階も、自分で動いてもらう段階なのです!
第4段階:自分でできないところを直接的に補う
さて、ここでようやく自分でできない生活動作を直接的に介助で補っていきます。
介助者が手を加えていく段階ですね。
全介助っすね!
いえいえ…、全介助は最後の砦です!
この段階でもなお、自分で動いてもらう働きかけは続きます!
最初の動き出しだけ手伝えば自分で動ける方もおられますし、途中までは出来ても最後のひと頑張りが出来ない方もおられますよね。
これが、「一部介助」という介護技術!
介助する時は、常に自分でできるところを探りながら介助することを意識しておくといいと思います。
「一部介助」のオーソドックスな方法は二つです↓
- 動き始めだけ介助して、動き始めたら見守る。
- とりあえず見守って、出来ないところを介助する。
こうやって、自分でできるところを探りながら直接的に自分でできないところを補い続けた結果、すべてを補わなければいけない状況が「全介助」ということですね。
といわけで、「全介助」の状態の方であっても、この4つのステップをたどっていくと、意外と出来るところが見えてきたりするわけです!
特養であれ、グループホームであれ、デイサービスであれ!
食事介助であれ、排せつ介助であれ、入浴介助であれ!
どんな場面であれ、この「介護技術の基本的考え方の4つのステップ」を頭に叩き込んでしまいましょう!
この「介護技術の基本的考え方の4つのステップ」はどこでも通用するものであり、いくつかの事業所を運営している大きな法人等では、ぜひとも法人全体で共通の基本的考え方として教えておきたいものですね。
あとの具体的な介助方法等については、各施設・事業所によってそれぞれに異なることが多いので、そこはマニュアルをもとに教えていくという考え方でよいと思います。
広義の介護技術と狭義の介護技術
この記事では「介護技術」を「介護技術の基本的考え方の4つのステップ」の第3段階以降として書いてきました。
「声かけ・見守り・一部介助・全介助」の部分ですね。
これは説明をしやすくするためのものなので、「声かけ・見守り・一部介助・全介助」の部分は「狭義の介護技術」と捉えてください。
第1段階の「生活動作を細かく分ける」ことも、第2段階の「環境を整えて自分でできるようにする」ことも、介護する前の事前の作業のように思われがちですが、実は日々の介護のなかでも考えられるようになっておきたい工程なのです。
利用者の状態がいつもと違うときなどは、自然とこの第1~2段階の工程をたどりながら「声かけ・見守り・一部介助・全介助」を施しているはずです。
そう考えると、第1~2段階も立派な介護技術ですよね!
なので、「広義の介護技術」では、第1段階から第4段階までのすべての工程を「介護技術」と捉えてください!
考えることも「介護技術」なのです。
例えば、「生活動作を細かく分ける」ときに、どの人も同じ生活動作になると思いますか?
トイレで新聞を読む人であれば、トイレに新聞を運ぶという行為も排せつ動作のなかに含まれることになりますよね?
結局は、生活動作は人によって違うのです!
考えなきゃ「介護技術」は成立しないということですね!
「広義の介護技術」で介護技術を捉え、考えながら介護ができる力を身につけていきましょう!
まとめ
今回は少し長くなってしまいましたが、新人介護士研修で必ず押さえたい考え方をまとめました!
もう一度振り返っておきましょう!
第1段階:生活動作を細かく分ける
⇒アセスメント
第2段階:環境を整えて自分でできるようにする
⇒環境設定
第3段階:自分でできないところを介助者が間接的に補う
⇒声かけ・見守り
第4段階:自分でできないところを直接的に補う
⇒一部介助・全介助
この順番で介護技術を考えることができれば、すべての介護技術に共通の「基本的考え方」が押さえられたということになります。
介護って、いつも通り介護してたらいいわけじゃないんですよね。
状態が変わったら、いつもと違う介護をしないといけないわけです。
安易に介護方法変えて介護しすぎてしまって、いつしかそれが当たり前になってしまうことも多々あります。
なので、日々この「介護技術の基本的考え方の4つのステップ」を頭に置いて介護できるようにしておかないといけないわけです。
ただ単に、技術があればいいというわけではないわけです。
新人研修では、まずこの「基本的考え方」だけでもしっかりと押さえられる研修をしたいものです。
そのうえで、この「基本的考え方」に沿って食事や排せつの研修をしていけば鬼に金棒!
くれぐれも、バラバラの講師で統一感のない新人研修になるようなことだけは避けましょうね!
Source: すべての道は介護に通ず【暮らしかるモダンなブログ】
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