ギラン・バレー症候群の検査

内科医

次にギラン・バレー症候群の検査について説明します。

神経伝導検査 (しんけいでんどうけんさ)
神経伝導検査は、その名前の通り、神経の伝導に異常がないかをみる検査です。
狭義では末梢神経の伝導を見る検査のことを言います。つまり、運動神経と感覚神経です。

運動神経の場合:刺激電極を当該運動神経の上に置き、刺激を加えたときに、その運動神経が支配する先の筋肉にどの程度、どのように伝達されたかをその筋肉の上にある記録電極でみることができます。

神経伝導検査

引用:http://www.ogaki-mh.jp/kensa/seiri/shinkei.html

(上の写真では正中神経という手首にある神経を刺激して (画面中央やや右) 、短母指外転筋という親指の付け根の筋肉に伝わる信号をみています (画面中央やや左)) 

感覚神経の場合: 刺激電極を当該感覚神経の上に置き、刺激を加えたときに、感覚神経にどの程度、どのように信号が伝達されたかをその神経上の記録電極でみることができます。

(上の写真では正中神経を刺激して、中指に伝わる信号 (画面左) をみています)
(正中神経では運動神経と感覚神経が二つ寄り添って走行していますが、別の神経ではそうでない場合もあります) 

この検査は一定の痛みを伴いますが、ギラン・バレー症候群では、ほぼ必ずやります。
行う神経はいくつかありますが、合計5つ程度の末梢神経で行うことが多いです。
ごく初期には異常がはっきりしない場合もあり、疑わしい場合には数日後に繰り返し行うこともあります。 また予後予測や治療経過をみていくときにも繰り返し行うことがあります。

髄液検査
髄液 (ずいえき) とは脳や脊髄の周りを覆う液体のことです。
ギラン・バレー症候群では蛋白細胞解離 (たんぱくさいぼうかいり) といい、髄液の検査値で蛋白の値のみが上昇するのが比較的よくみられます (細胞の数は正常)。

髄液はどうやってとるかというと腰椎穿刺 (ようついせんし) を行って採取します。

腰椎穿刺

引用:https://www.kango-roo.com/sn/k/view/1497

腰に針を刺すので、とても怖がる方が多いのですが、しっかりと丁寧に局所麻酔をした場合には、痛みはさほど感じないケースが多いと思います。 

腰髄造影MRI
ガドリニウムという造影剤を点滴で入れた後に、腰のMRIを撮影する検査です。
ギラン・バレー症候群では、この検査で腰髄 (ようずい:腰の部分にある脊髄) の神経根 (しんけいこん:末梢神経へと繋がる部分の根元部分) に異常所見がみられることがあります。
通常これらは、造影剤で強調されてうつらないのですが、ギラン・バレー症候群の場合には造影剤で強調されてうつる場合があります。また、腫れている場合もあります。 

造影MRI

引用: https://step2.medbullets.com/neurology/120319/guillain-barre-syndrome

④ (オプションですが) 抗糖脂質抗体 (こうとうししつこうたい) 
ギラン・バレー症候群は末梢神経に対して自己免疫が働いてしまうというお話をしましたが、
約2/3の患者さんではその自己抗体である抗糖脂質抗体が血液から検出されます。
抗糖脂質抗体の一部は各病院でも検査可能ですが、網羅的に調べることができるのは一部の大学病院のみです。 どの抗糖脂質抗体がみられるかで、症状の進行や合併する症状・予後などが異なります。

ふう、疲れました。
今日もありがとうございました。 

Source: 世界一わかりやすい医学 〜人工知能時代における医学情報の再定義〜

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