患者さんによく聞かれることとその回答1

僕は神経内科医なので、患者さんで何か脳の疑わしい病気がないか検索するとき、しばしばMRIを撮像してもらいます。
その結果を説明する際は、主に以下の順番で説明しています。
1. 脳梗塞がないか
2. 脳出血がないか
3. 脳腫瘍がないか
多くの患者さんの懸念はこの3点に大体集約されており、
これらがないことを説明することで非常に安心されます。

ただ多くの患者さんはあともう一つとても気になることがあります。
それは「認知症の気があるか」ということです。

結論から言いますと、これは多くのケースで「わからない」のです。
例えば、アルツハイマー型認知症の場合には、海馬 (かいば) とその近くにある海馬傍回 (かいばぼうかい) という部分に萎縮がみられるケースが多いです。
しかし、アルツハイマー型認知症の場合に必ずこれらが萎縮するわけではありません。
またその逆も言えます。海馬や海馬傍回が萎縮していた場合に、認知症のリスクがあると言えるかというとそうではありません。

このように、認知症の場合に脳の一定の部位の萎縮がみられるケースは確かに多いのですが、逆に脳の一部が萎縮しているからといって認知症とは言えないのです。つまり「認知症の気があるか」の回答は「現時点ではわからない」ということになります。

しかし、今後登場するMRI以外のツールはもしかすると将来の認知症を予測できる可能性があります。
代表的なものが「アミロイドPET」と呼ばれるものです。

2018年2月現在には、ごく少数の医療期間 (主に研究期間) にこの機械が導入されていますが、まだ一般的に普及はしていません。将来的には、画像から将来の認知症を予測できる時代が来ると思われます。

 

Source: 世界一わかりやすい医学 〜人工知能時代における医学情報の再定義〜

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