Youtubeで公開している「動画で学ぶ皮膚疾患」は、教科書にはあまり書かれていない診療のポイントを約10分で解説する初心者向けのコンテンツです。
動画で使用しているスライドを解説付きで公開します。
今回はじんま疹の診断と治療についてです。
じんま疹の診断
じんま疹を診断するための検査は存在しないため、見た目と病歴だけで診断する必要があります。
じんま疹の皮疹の特徴は盛り上がった紅斑で、地図状に広がることもあります。
このように盛り上がった紅斑の場合はわかりやすいのですが、盛り上がりが少ない場合は見た目で診断することが難しくなります。
左の写真は薬疹で、右の写真はじんま疹ですが、見分けるのは難しいと思います。
診断のポイントは皮疹の一過性です。
じんま疹の皮疹の持続時間は数十分から数時間以内のことが多く、皮疹が出没することが確認できれば、じんま疹と診断できます。
じんま疹の治療
次にじんま疹の治療をガイドラインをもとにして解説します。
まず治療の基本は抗ヒスタミン薬です。
強ミノの注射だけで治療されていることがありますが、必ず抗ヒスタミン薬を使用してください。
鎮静性の低い第2世代が推奨されています。
第1世代は1950~60年代に発売された古い薬で鎮静性が強いのが特徴です。
第2世代は主に2000年以降に発売された新しい薬で鎮静性が低く、こちらを使うことが推奨されています。
ベテランの先生はポララミンなどを積極的に使用されていることがありますが、あまり推奨されません。
どの薬を使用するかについてですが、効果の優劣に関するエビデンスは乏しいのが現状です。
効果には個人差があり、実際に使って試していくしかありません。
薬剤選択の目安は眠気の副作用です。
第2世代の抗ヒスタミン薬は鎮静性は低いですが、それでも差があります。
副作用の強さは、添付文書の自動車運転の可否が参考になります。
処方する際は、自動車運転が可能な眠気の少ない薬剤から選ぶのがよいでしょう。
治療期間についてです。
抗ヒスタミン薬で症状が消えても、病勢は続いており、しばらく内服を続けるのが望ましいとされています。
慢性蕁麻疹の研究では、内服を続けたほうが再発が少なかったというデータも出ています。
まとめ
次回は「水虫」について
つづく
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Source: 皮膚科医の日常と趣味とキャリア
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