愛する人が食べられなくなる時

医療機関

先生、カラダ見てると、

僕が頑張らなきゃって、、、

思ってしまって、、、。

 

夜ごはんは、やっぱり、彼女に、

時間をかけてあげられるんです。

家事全般をされている彼は、

夜の、彼女との食事の時間を、

とっても大切にしておられる。

 

あれ食べて欲しい、

これやったら美味しいかな、

もしかしたらこっちかも、

あれもやってみよう、

これならきっといけると思う、、、

 

そんなふうに考えながら、

夜、頑張っちゃうんです。

いつもより長くなって、

彼女も寝そうになっちゃって、、、、

口の中に残ったのは、

危ないから手で掻き出すんです、、、

 

痛いほど、彼女への愛情が伝わってくる。

 

 

深夜の電話は、呼吸状態の悪化。

容易に、誤嚥が想像できたが、

そうは伝えなかった。

 

別に医者が行かなくても、

彼が彼女にできることを、

普段から練習してる。

多少の誤嚥後の排痰ドレナージは、

今や、ナースよりも上手い。

 

それも、わかっている彼は、

タナカにいつも別の言葉を求める。

それもよくわかっている。

電話の最中に、何度も沈黙になる。

ひろちゃんへの愛情を大切に保ちたい。

余計なお世話かもやけど、それが僕の流儀だ。

嘘でも痙攣発作だと言っておく。

それを聴いて、きっと、彼はまた、

彼女の『食べる』を諦めずにいられる。

 

その情熱と冷静のあいだで、苦しむ彼を、

 

必死に彼女に生きていてほしいと足掻く彼を、

 

最期まで支えるのが僕らの仕事だ。

もちろん、彼女の命も支えながら。

 

 

お父さん、今回から、夕食止めましょう。

朝ごはんと昼ごはんに、エネルギーかけて。

お父さんの介護、うまく減らせるよう、

看護師2回から3回へ増やして、

一番手のかかる排便コントロールちゃんとするね。

そこは、みどりちゃんに任せてよ。

だから、その分、朝と昼の食事に集中して。

悲しまなくていいよ、夕食ぐらい。

 

ここまでやってきたんやから、

最期まで、絶対に、お口で食べて!

これに挑戦しましょう。

 

彼は僕の目を見て、大きく笑顔で頷かれた。

ひろちゃん、よかったなあ、、、もう大丈夫やで。

そう言って、彼女の頬を撫でる彼は、

彼女のことが愛おしくてたまらない表情だった。

 

先生、家内、明日誕生日なんです。

ふと思い出したように話された。

 

もちろん、全力で、うちの保健師森井と、

ハッピーバースデートゥーユーを歌った。

今度からはウクレレ、診察バッグに入れとこう。

手拍子と、タナカと森井の美声で、

まあまあエエ歌だった。ことは言うまでもない(笑)。

 

ひろちゃんがそれを聴いて、

穏やかに微笑むのを見て、

お父さんは本当に笑顔になって、

 

そして、頑張ります!って言われた。

 

 

食べることは生きること。

 

僕らは決してあきらめない。

ご夫婦の挑戦を、最期まで支えるぞ。

 

 

連休最後の診療で、また勇気をもらえた。

 

 

今年の連休は本当に、素晴らしかった。

全国の仲間に感謝申しあげます。

明日からもまだまだやれます!

応援ありがとうございます。

僕らも皆さんのこと応援しています。

同じ空の下。

“May the Norukin be with you.”

 


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Source: 兵庫県三田市の在宅療養支援診療所「たなかホームケアクリニック」

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