妊婦加算がやり玉に

意外というのか当然というのか、当ブログでも妊婦加算を取り上げましたが、懸念していた通り、 いま、この妊婦加算がやり玉に挙がっています。

 

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妊婦加算の概要

診察時に、妊婦であることを確認した上で、それに配慮した診察を行った場合、初診時には750円、再診時には380円加算できる。診療科などは問わない。

ネットでは反対意見一色

ネットでは、妊婦税のようでけしからん、少子化がすすむ原因になる、働けないのに負担が増えるのは困る、など反対意見一色で、専門家や医療関係者が、ある意味弁明のための意見を書いているような状態です。

そもそもの話、どんな事情や理由があっても、医療費が上がると言うことについて、一般の方から擁護するような意見が出ることはまれです。しかも、批判する意見の大半は、医療行為についての価値や物価等と比較しての妥当性について考慮されたものではなく、「医者はもうけて裕福な暮らしをしているのだから、もう少し安くしてもいいだろう」とか「命に直結する時に金銭的理由で医療が受けられないのは困る」といった本筋からずれたものが多いです。

厚労省などが決めたルールに従って、医者側は請求を行うので、保険診療のみを行う限り、医者側は言われた値段で仕事をするしかありません。それがペーペーの研修医でもいわゆる名医であっても価値は同じと日本では決まっているのです。ただ、今回のようなケースで不満が出ると、批判にさらされるのはいつも現場にいる医療関係者になってしまいます。

 

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小泉進次郞氏も批判したと報道

そうこうしているうちに、人気政治家である小泉進次郎氏も妊婦加算について「おかしい」と発言したと報道されました。政治家として人気や立ち位置を維持するのに、大勢の意見に迎合的なことを言うのは重要かと思いますが、彼も加算自体を否定しているわけではないようで、意見の趣旨は「妊娠と関係なく行われる医療行為(例えばコンタクトレンズの処方)もあるのに、それについても妊婦加算が一律行われるのはおかしい」ということのようです。

診療内容によって加算をつけるつけないを決めるのは難しい

ただ、そうはいっても、診療内容から加算をつけるつけないの取り決めをするのは極めて難しそうです。実際処置や内容がすべてレセプトに反映されるわけではありませんから、査定も煩雑になってしまいそうです。実際、処置などがなく、診察のみの時も、妊娠に関連した疾患を疑って問診を行う場合もありますし、外用薬のみの処方でも、妊婦さんには禁忌のものもあって、一律線引きは難しいです。

医者の立場からは、正直言って…

妊婦加算という話自体降って湧いたようなもので、自分は産婦人科ではないので、本当に人に聞くまでこの加算のことは知りませんでした。正直、ある程度批判が予想されるこのような加算よりも、もっと、再診料をあげてほしいとか、診察時間を要した場合に加算がほしいとか、専門医であることに関しての評価がほしいとか、ぶっちゃけるといろいろいいたいことがあります。

特に昨今は、クレーマー気質の方も増え、何かと診察に対して要求されることが多い一方で、不必要な受診も多く、いろいろな意味で、無駄が多いことは否定しません。また、ある程度の数を見ないとビジネスとして成立しないので、結果的に短い診療時間で裁くような診察になっていたり、必要性の少ない検査をルーチンで行うようなクリニックがあったり、医療を提供する側にも反省しないといけないところが多数あります。理想論を言えば、「無駄を極力省き、必要な医療をある程度時間的余裕を持って提供できる体制と診療報酬体系を考えてもらいたい」ということにつきると思います。そういう意味では、妊婦加算に関しても、決して理不尽な制度と思えないのですけど、ねえ。

最後に、一般の方でもこのブログを読んでいただいた方もいると思いますが、妊婦加算がつくのがいやで、自己判断で、妊娠していることを隠すようなことは決してなさらないようにお願いしたいと思います。最近の世間情勢を見ていると、そういう方もいらっしゃるのではないかと心配になってしまいます。

 

Source: 医者向けのちょっといい情報

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