「ハンドクリームつけようか」――。

「手、カサカサしてるね。
 ハンドクリームつけようか」――

母が“余命1週間”を告げられた日...

  結果的に母はその日に
  亡くなったのだが...

薄明りの緩和ケア病棟の一室

ベッドに横たわった母の意識は混濁していた

母はとにかく、

「眠たい」
「眠たい」

と繰り返し、
夢の中に現を見ている状態のようだった

原因は、おそらく、
肺に転移したがんが大きくなり、
酸素を取り込めなくなっていたこと

「肺は、
 水を含んだスポンジのようになっている」

そう医師から伝えられていた

そのため、脳に運ばれる酸素の量が
少なくなっていたのだろう

そんな中、
介護をしてくれた看護師さんが母の手を取り、
手の甲を撫でながら、

「あら、手、カサカサしてるね。
 ハンドクリームつけようか」

そう優しく母に声をかけたことが
強く印象に残っている

余命間もない母

なのに、

「そこまでしてくれるのか――」

そう思った

最期まで、“生”として見てくれていること

最後まで、“ひと”として看てくれていること

今、まさに消えようとしている命

それでも最後まで寄り添ってくれたその気持ちが、
家族にはたまらなく胸に響いた

“この状態までになってしまったら、
 手の乾燥なんてどうでもいいこと”

私なら、そう思うかもしれない

あと数時間の母の命

母の手に、
ハンドクリームを優しくすり込む看護師さんの姿が
今でも目に焼きついている――

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Source: りかこの乳がん体験記

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