藁は藁なのか

医療機関

先日、

胃がんのおばあさんの旅立ちがあった。

徐々に経口摂取も出来なくなり、

いよいよの時期になってきた。

 

 

訪問入浴で入浴をされたり、

訪問看護で車椅子座位にて庭を見たり、

少量のお茶の経口摂取をしたり、

大好きな孫の笑顔の訪問が何度となくあったり、

その時の準備は、何もかも順調であった。

 

お母さんの最期をお家で、という思いで、

娘さんは、お仕事もお休みされ、

しっかりお見送りの準備も整っていた。

 

あえて言葉にするなら、

人生会議も日々繰り返してきた。

 

 

いよいよが迫った時、娘さんがこうおっしゃった。

「センセ、点滴1本くらいするのは、駄目でしょうか?」

 

その点滴の効果については、

他の医師も、訪問看護師も、

繰り返し説明し、ご理解もされていた。

 

もちろん、ご希望があったので、

柔軟に対応し、点滴は行った。

 

その2日後、天国へ旅立たれた。

 

寝顔がとても優しく笑っているおばあさんに、

医学的に点滴が必要であったかどうか、

結局わからずじまいとなってしまった。

ザイタク的には必要であったのかも、、、と思う。

 

意味のない点滴か、意味のある点滴か、

 

それを決められるほど

彼女の人生のすべてを、

ボクは理解できていない。

 

それでも医者は医学的な必要性を、

判断しなければいけない。

それが唯一、ザイタクにおいて、

任された仕事なのだから。

 

判断を放棄したボクは、

医者としては無責任だな、、、、、と、

看取り帰りの車中で思って、

あんまり言葉が出なかった。

 

 

ふと、師匠さくらい先生の、

アットホーム ホスピスケアの14ページ

『コラム 800時の処方箋 ~藁はつかんでも~』

が思い浮かんだ。

 

良かったら読んで下さい。

 

 

 

 

 

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Source: 兵庫県三田市の在宅療養支援診療所「たなかホームケアクリニック」

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