人の正しい道と黄金のアデーレ

その他

再掲

久しぶりの映画鑑賞。

数年前までは映画も、DVDすら見る時間はありませんでしたけど、

「黄金のアデーレ 名画の帰還」(原題:Woman in GOLD)観てきました。

82歳の女性が、ナチスに略奪された名画を取り戻すため、

友人の息子で新米弁護士と共に祖国オーストリア政府を訴えた実話の映画化です。


20151114-adele-poster(C)THE WEINSTEIN COMPANY / BRITISH BROADCASTING CORPORATION / ORIGIN PICTURES (WOMAN IN GOLD) LIMITED 2015

 

予告編はこれです。


内容は、興味がある方は映画を見ていただくとして、
簡単にストーリーを書いておきます。


ネタバレになるので、読みたい人だけ進んでください。

ネタバレと言っても、美術界では大きなニュースになりましたので
知っている方も多いかもしれません。

第二次世界大戦下、

ナチス占領下のオーストラリアをすべてを捨てて、命がけで脱出し、

米国に亡命したユダヤ人女性マリア・アルトマン。

 
マリアは82歳となり

穏やかな余生を送っていた時に、
同じく米国に亡命していた姉ルイーゼが亡くなりました。

姉の遺品を整理していると

姉がオーストリア時代にナチスに強奪された絵画の所有権を主張し
オーストリア政府に返還を要求していたことを知ったのです。

その絵画は、残された唯一の家族の形見でした。

その中には、

マリアが幼少時代にいつでも優しくしてくれた伯母アデーレがモデルとなった

「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像」

がありました。

伯母アデーレは、マリアが9歳の時に亡くなってしまい、

この絵が唯一のアデーレとの思い出を繋ぐものとなっていたのです。

maria_mainqアデーレとマリア/golden.gaga

この絵は、
クリムトの最高傑作の一つであり、


「オーストリアのモナリザ」とも称される国宝級の名画です。 


世界でも最も高額な絵画TOP10に入ります。

名画の題は、

「黄金に包まれた女性 Woman in Gold」に変更されていました。

題を変えたのは、

ナチスに強奪された後、国が不当な手段によって手に入れた過去をごまかすためです。

これが映画の原題にもなっています。

 

 

 

姉の遺志を知ったマリアは
その心を引き継ぐ決意をし、

友人の息子で新米弁護士になったばかりのランディに依頼したのです。

 

 
しかし現在では国が所有し、
国の美術館に展示され、
オーストラリアの至宝とも言われる名画を

国がそう簡単に手放すはずはありませんでした。

この新米弁護士ランディも、

最初は高額な絵画ということもあり、興味本位でしたが、

やがて

自分の心の奥にある何かに突き動かされるように、
真剣に向き合うことになります。

オーストリア美術品返還審問会に

十分な証拠を携えて返還要求しますが、

あえなく却下されてしまいます。

国の力は、一個人の意志を遥かに超えて、大きいのです。

20151114-adele01(C)THE WEINSTEIN COMPANY / BRITISH BROADCASTING CORPORATION / ORIGIN PICTURES (WOMAN IN GOLD) LIMITED 2015

そして、

その翌年

ランディは、もう過去の話にしたいマリアを説得して

たった一人の女性の家族の形見のために、
そして
人としての誇りために、
大きな国を相手に勝てるはずもない訴訟を起こすのです。


それは明らかにお金のためではない
正義のための訴訟でした。

勝てるはずのない訴訟。

あまりに無謀な訴訟のために、
就職したばかりの弁護士事務所の職も失い、
新婚で子供も出来る中で
借金を重ねて、
戦い続けます。

原告となったマリアにとっても
戦時下で踏みにじられた家族の心、
そして
人の心の誇りを取り戻すための長い戦いでした。

国側は、自分たちに非があることを知りながらも
決して認めることなく
理不尽な主張によって
マリアとランディを窮地へと追い込んでいきます。

裁判は、6年を費やし、

最終的に

ウィーンでの調停に持ち込まれます。

調停では、

人としての正しい道が認められるのか、
それとも 
権力を優先して、人として在るべき姿を曲げてでも人の心を踏みにじり続けるのか
 
調停の判断が焦点になっていきます。

この絵は

無理やり強奪され不正な手段で入手されたことがわかっている絵。

そして

財産すべてを戦時下で奪われてしまった原告家族にとっては、唯一の形見。

そのことをすべての人が知っていても、

返そうとしない。

それは、高額だから、有名だから。

マリアは証言台でこういっています。

「皆さんにとっては高額な絵。
でも
私とっては家族との唯一の思い出の絵なのです。」 

圧倒的に不利だと言われていたウィーンの調停で、

最終的に

陪審員たちの正当な判断が示され、
マリアは返還判定を勝ち取ることが出来ました。

調停の場で「正義」が示された歴史的瞬間でした。

マリアは実に90歳になっていました。

こちらは実際のマリアとランディ。

maria_main2golden.gaga

ランディ本人も、この映画に少し出演しています。

マリアは、

この絵はもはや自分一人のものではない、

この絵を誰もがいつでも鑑賞できるという条件で、

ニューヨークの美術館へ売りにだしました。

現在も展示されています。

絵の売却で得た巨額なお金は、

慈善事業に使われたそうです。

人は、
社会的地位やお金、名声など
外面的なことばかり気にして、
エネルギーを費やします。

そして社会も
人に不自然さを要求します。


誰もが、
これに逆らうことなく、
疑問に思うことなく、
盲目的に従う習慣がついている。

でも、
そこに人生の本当の輝きがあるのでしょうか?

今は、
多くの人が
真の幸福を、
経済的価値や物、名誉など自分の外側の世界に求めるのは間違いだと気づき始めています。

無駄な虚飾と過剰な欲望を優先し、

自分の内側を探求しなければ、

ますます真の幸福の源泉から遠ざかってしまうのです。

自分に素直に、

そして人として正しい思い、言葉、行動を示す時が

本当の幸福を呼び寄せます。

今回の国とマリアの裁判も、

虚飾と欲望

vs

の象徴であるように思えます。


絵画の所有権をめぐって、
実際には

国の国民権利に対する姿勢、
そして、
人としての在り方が問われている裁判
。 

人として正しい判断が出来ないのは、
やはり
分離感があるからでしょう。

他人を困らせても、

自分や所属する組織に都合の良いように行動してしまう。

そして、

この分離感は、

心の内側の世界を無視して

外の世界がすべてであるかのような錯覚を引き起こします。

 

たしかに表の舞台で
スポットライトを浴びることはとても華やかなこと。
でも
外側の栄光は一時的なものにすぎません。

一方、
人として、正しい道を歩んだ時に見られる「内在する光明」というスポットライトは、
遥かに強く永遠に輝き続けます。

内在する光と外側の栄光は、

悠久の時を輝き続ける太陽光と風が吹けば消えてしまうロウソクの光を比べるようなもの。

そして、
誰もが素直に、人として正しい道を生きることによって、
内在するスポットライトを浴びる権利があるのです。


誰もが
人として
正しい理念に沿った生き方が出来る社会が実現できることを
願っています。

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Source: ひかたま(光の魂たち)

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