阻害やブロックは、ピュシスとしての生命体をむしろ逆の状態(阻害やブロックに対抗する方向)へ導きます。薬が効かなくなったり、ドラッグの使用量が増したり、より中毒性の高いものに向かうのはそのためです。あるいは、抗生物質で、細菌を制圧したはずなのに、抗生物質という大きな網をかぶせて細菌を抑え込んだことが、逆に今度はその網の目をかいくぐって、抗生物質に抵抗性を持つ変異株を選抜することに手を貸してしまう。
その変異株を制圧するために、新しい抗生物質が開発されると、さらに強力な変異株が選抜される、といういたちごっこが繰り返され、今ではどんな抗生物質も効かない厄介な細菌が存在しています。これがスーパー耐性菌の出現ということです。これらはすべて、ピュシスからのリベンジです。
■ワクチンをどう考えるか?
新型コロナウイルスのワクチンに対しても、長い射程を持った視点が必要だと思います。
確かにワクチンは、社会的不安を解消する有力な切り札になりえますが、それを万能視してやみくもに礼賛する態度も、逆に、アレルギー的な拒絶反応を示す態度も、ともに冷静さを欠いていると思います。新型コロナワクチンはワープスピードで開発されたがゆえに、まずは有効性の確認と慎重な副反応の検証に注意を向けるべきです。
ワクチンは、現在、世界中で奪い合いとなっています。本来、2回投与してしっかりと免疫反応を惹起(じゃっき)させるべきところを、よりたくさんの人に接種することを目指して、1回投与で済ませて、まずは広範囲の普及を優先しようとする動きもありました。
これも議論が必要なポイントです。ワクチンによる免疫賦活作用が不十分なまま、広く、浅く、ワクチンの網の目をかけることで、かえって、新・新型ウイルスへの変化に手を貸してしまいかねません。
つまり、ワクチンの作用をくぐり抜けてしまうような、変異株の出現──細菌でいえば耐性菌の出現──を促してしまうような逆効果の可能性もある。そうするとまたワクチンを作り直さねばなりません。いたちごっこになります。ピュシスの可変性、変幻自在さを過小評価すべきではないということです。
※ピュシスとは、ギリシャ語でありのままの自然のこと。 … ロゴスとはピュシスの対義語、つまり言葉、論理、あるいは人間を人間たらしめた思考そのもののことです。
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Source: 身体軸ラボ シーズン2
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