2019年5月は、新しい天皇陛下の即位に伴って10連休になることが確定しています。
当院でもこのような長期の連休に対して、どのように対応するかが話題になっています。
ここでは長期連休中の病院の対応について考えてみたいと思います。
実は病院が長期の休みなることは多い
実は長いあいだ病院がお休みを取るのは、2019年5月の10連休が初めてではありません。
年末年始の日の巡りによっては、お正月を挟んで1週間近く休みになることがよくあります。
また5月の大型連休の時もそうです。日取りの組み合わせによっては、1週間近く休みになることがよくあるのです。
長期間休みになったところで、暦通りに休めないのは医者の生活の辛いところではありますが、、、、
長期休みになって病院が困ること
さてこのような長期の休みになった場合に病院にとって困ることを考えていきましょう。
決して良いことばかりではありません。
緊急事態への対処が遅れる
まずは急病人の対処です。
人間は生きている限り、毎日誰かしらにトラブルが起きます。入院患者、通院患者問わず、誰かしら急変するものです。
自分の診療科では手に負えないと感じた場合には、他の診療科の医師にコンサルトしたりするのですが、休日では出勤している医師も限られてしまいます。
したがって休日には他の診療科の医師の意見を伺うのは難しいのです。
例えば緊急手術をしようとしても、麻酔科医や外科医、看護師を呼び出して手術しなければならないですから、平日よりもだいぶハードルが高くなります。
忙しい病院はさらに忙しくなる
普段開いている個人病院や中小病院の中には、人員配置の関係から連休中の救急業務を完全にシャットダウンしてしまう病院もあるでしょう。
このような事情を背景にして、24時間365日に渡って休日対応をしている救急病院では、さらなる業務量の増加が予想されます。
このように忙しい病院はさらに忙しくなり、そうでない病院はまったり連休を満喫できるという、病院間格差が出現するのです。
治療のスケジュールが狂う
このほか連続した治療を行っている場合にもなかなか難しいものがあるでしょう。
例えば抗がん剤治療は週に1回とか2週間に1回行ったりするのですが、10連休以上となるとそのサイクルに狂いが生じます。
特に外来通院で抗がん剤治療を行なっている場合には、サイクルの乱れが生じるのです。
それ以上に問題なのは、連休中は病院は営業していない日が多いですから、ちょっとした副作用の対応も後手後手に回ってしまうことでしょう。
入院中の患者に関しても、多くのスタッフがいてチェックが入る平日とは違って、連休中は人数の少ない中で対応する必要がありますから、少しの体調の変化などに気づくことが遅れてしまうかもしれません。
連休の前後では忙しくなる
加えてこのような長期の休みがあるがゆえに、休みの前後では特に外来業務が忙しくなります。
休みだからといって患者の数が減るわけではありませんから、お休みの前後は多くの外来患者の診察をする必要があったり、病棟の対応をしなければならないなど忙しくなるのです。
したがって連休明けなどは医者にとってはちょっぴり怖いわけです。
長期連休がある場合の病院の対応
このような長期の休みがある場合の病院側の対応は、すごく難しくなります。
規模の大きい急性期病院では、医師に限らず看護師や医療スタッフに余裕がない状況で毎日病院業務が遂行されています。
代わりの人材がいるのであれば、いくらでも休日出勤を強要することができるのですが、代休を与えることができない以上なかなか難しいのが現状です。
医師は連休があって嬉しいのか?
したがって、長期連休があるからといって医師が嬉しく感じることはほとんどありません。
むしろ「世間一般は休みなのに、我々は出勤しなければならない…」となって落ち込むことの方が多いでしょうか。
医師の場合には、振替休日が与えられると言う事は全くなくて、休みの日も勤務した後に平日も通常通り勤務しなければなりません
少なくとも私の医者人生の中では、休日出勤に対してちゃんとした休暇をもらっている医師を見たことがありません。
10連休になったからといって、暦通りに休日を取得できる勤務医は、おそらく10%もいないのではないでしょうか。
ほとんどの医師は当番や当直等で最低1回は休日も働かなければならないでしょうし、外科系の熱心な診療科では、連休の半分以上が仕事で潰れてしまうかもしれません。
このように考えてみると、連休だからといって素直に喜べない、そんな現実があるのです。
Source: 医者夫婦が語る日々のこと、医療のこと
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