前へ進む決心がついた日。

2007年1月4日木曜日、午後2時前

電話のベルが鳴る

「とうとう来たか...」――

正月気分もそこそこに、
乳がんの手術日を知らせる病院からの電話だ

「手術日が11日に決まりました。
 前日に入院をしていただくことになりますが、
 その日で大丈夫でしょうか」

 『いやだ

  手術なんてしたくない
  おっぱい切りたくない

  ここで、
  “その日は用事があるので...”

  そう言ったら、手術は先に延びる

  そうしたら次の手術日まで、
  おっぱいを切り取る覚悟がつけられるだろうか

  いや、きっと、
  延ばし延ばしにしても、
  踏ん切りはつかない

  一生、手術をする覚悟はつかないだろう』

――「はい。その日で大丈夫です」

不思議だった

乳がん告知を受けてから1か月半

おっぱいを取る決心はつかないままだった

なのに、手術日が決まった途端、
覚悟がついたのだ

まさに、
“まな板の鯉”とはこのことか...

ここからはじまる

これからはじまる

これからが、本当の病との闘いだ

弱音は吐けない

耐えるしかない

避けては通れない道

進むしかない

そう覚悟を決めた日――

  今思い出しても、

  しこり切除(外科的生検)から
  がん告知

  それから大きな病院に移り、
  検査、検査

  入院、手術、放射線治療、
  ホルモン療法...

  中身の濃い時間を過ごした数か月間だった

  が、その時間の流れに、
  私は乗り切れていなかった

  手術、治療へと進む流れ作業に、
  頭と心が追いついていかなかった

  それはたぶん、
  “がん”を受け入れられていなかったから

  “がん”を受け入れるのは、
  きっと簡単なことじゃない

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Source: りかこの乳がん体験記

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