このブログでも、数回グーグル口コミについては取り上げて記事を書きました。
これらの記事を書いた後、2018年の6月に、厚労省が『医療機関ホームページガイドライン』を発表し、規制が強化されることになりました。
それまでは、患者さんの体験談や良い口コミを自院のHPに載せたり、極端に悪い口コミを除外した口コミサイトなどがあり、むしろ集客のためにそのサービスを利用するような風潮もありましたが、意図的な口コミ内容の操作や掲載が禁止されることになり、多くの医院がインターネット上の口コミ、評価に頭を悩ませることになりました。
特に、グーグル口コミについては、理不尽と思われるようなものや事実と反するような口コミでも、グーグル側で違反行為と認定されない限り、削除されないため、どんどん悪い口コミや低評価が蓄積されるという状況になっています。
医療機関については、そのサービスの性質上、どうしても点が低くつきやすいということは以前の記事で述べたとおりです。その後時間が過ぎて、自院や他院の口コミを見たり、聞きかじった話も元に少し考察してみたいと思います。ちなみに、我々は科学的根拠を大事にする業種ですが、これからの内容には、明快な根拠はありませんので、それこそクレームはなしでお願いします。
医療機関のグーグル口コミの点数は二極化している
いろいろな医療機関のグーグル口コミを読んでいると、まあいろいろ書いてありますが、やたらいい口コミが多く、4点台の医療機関と、2,3点台でかなり悪評が多い医療機関に分かれているような印象がありました。その4点代の医療機関は比較的開院してから間がなかったり、若い先生が院長であるところが多そうです。逆に昔ながらの医院さんは軒並み点が低く、1点台のところも結構ありました。
グーグル口コミの特徴
これもなんとなくですが、列挙してみます。
- ほとんどの口コミはニックネーム、偽名で行われている。
- 多数の口コミをしている人もいるが、それ以上に1件しか口コミしていない人が多い。
- 口コミの件数にはかなりのばらつきがあり、同じような立地や規模のクリニックでも差がある場合がある。
- 点数だけの人は1点の割合が多い。
正直、わざわざいい評価を書くためにアカウントを作って、1件だけ書き込むのも考えにくいので、サクラの割合も多そうです。基本的には医療機関のグーグル口コミは憂さ晴らしの場である、と考えて良さそうです。
口コミ代行のビジネスも存在
口コミ対策と称して営業をかけて来る業者が激増しています。自院では対策していないため、ご多分に漏れず低評価となっており、わざわざグーグル口コミのコピーを送りつけてきて、「対策しませんか?」と持ちかけてくる業者が多いです。
他の院長先生に聞いたところでは、口コミ対策としては、サクラの口コミで悪い口コミと点数を希薄化させるという方法で、年間でん十万~百万ほどかかるようです。
グーグルの規則には明らかに抵触する行為ですが、刑事罰を食らうような内容と思えないですし、すべてのサクラ行為に対応していくことも不可能と思われますので、(浅ましいというかえげつないと思いますが)別にビジネスとしてはアリな気がします。
深刻な悩みとして捉えている先生だと、そういうビジネスに手を出してしまう方もいそうです。
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サクラを依頼した場合の問題点
ただ、私自身はそのような商売に金を支払う気はございません。まず、そのような方法で口コミを増加させて、点数をかさ上げしたとしても、月1000人以上の人を診察していれば、必ず数件のトラブルもありますし、クレーマー気質の人もいらっしゃいますので、悪い口コミも増えていき、希釈されていきます。業者がニセアカウントを作るにしても限界があると思われますし、いたちごっこになりそうな気がします。
口コミでクリニックを選ぶ患者さん
もちろん、口コミでいい評価をよんで来る患者さんもいると思いますが、そういう患者さんは、その架空の高評価を信じて、それ相応の対応を期待して受診されるわけです。もちろん、誰でも不愉快な思いはしたくないのですが、過剰なサービス、対応を期待する人もいます。事実、そういう評価が怪しいクリニックの口コミを読んでみると、「高評価だったので受診してみたが、ひどかった」とか「期待していって見たら無愛想にされた」といった書き込みも多く、時間がたてばまた点数も下がりそうな感じです。口コミが口コミを呼ぶ感じでしょうか。
口コミを気にしない患者さん
一方で、そういうのを見ないで受診する患者さんも多いです。特に高齢者の方はまだそういうものを認知していない方がほとんど(将来的には変わってくると思いますが)で、やはり実際の対応、友人からの紹介などを評価してきて頂いている方がほとんどです。そしてそういう患者さんは、無理も言いませんし、診察も和やかに行える気がします。 えり好みをして診療すればいいわけではありませんが、きちんと信じてきてくれる患者さんを失望させないように頑張るのが本来あるべき姿でしょう。
自分なりのグーグル口コミ対策
というわけで、あまり期待している結論ではないと思いますが、
- グーグル口コミについてはあまり気にしない
- 返信などもしてもいいが、火に油を注がないように注意する
- 今来てくれている患者さんに対して、最善を尽くすように努力する
- 長年の付き合いの患者さんには、口コミで悩んでいることをそれとなく伝える(評価して頂いていることを書いて頂ける場合もある)
こんな感じでしょうか。何にせよ、口コミサイト自体、憂さ晴らし的な部分があり、だんだんそういう部分があることも認知されつつあります。日々きちんと診療していれば一定数の患者さんはついてきてくれます。あまり気にしすぎずに、無駄なビジネスに散財しないようにしたいと思います。
Source: 医者向けのちょっといい情報
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