特別養護老人ホームに入ったのは、
丁度5年前。奥さんに先に旅立たたれた。
ヤメていたお酒、やっぱり寂しくって、
また始めちゃって、ほんで、酒呑んで、
アカン言われても、自転車で出掛けたりして、
ひっくり返って、1日に2度も救急車で運ばれた事もあったっけ。
その2回目の時は、頭の出血がヒドくって、
アタマの骨を開ける手術もあったりしたけど、
それでも、手足の麻痺もほとんどなくって、
運が良かったんやけど、リハビリ病院に行ったけど、
あんまりリハビリにも精が出なくって、結局、
老健にも行ったんやけど、出ないといけなくなって、
市営住宅の一人暮らしに戻るんはちょっと無理やって、
そん時、丁度、特養の空きがあってね、そんで、
丁度5年前、特別養護老人ホームに入ったんです。
って、親父さんのことを、自分のことのように、
丁寧に教えてくれたのは、親父さんに一生懸命な、
息子さんと息子さんのお嫁さん。
今日は、うちの訪問看護師と一緒に、腹臥位療法と、
呼吸リハ、呼吸介助、そして、脱水補正のための点滴加療少々。
それらをご家族と一緒に行っている時に、冒頭のお話を伺った。
5年前のお母様のザイタク看取りで、
たった3日間の『ザイタク』をご一緒したご縁で、
今回のお父様の『ザイタク』に、僕らを選んで頂いた。
特養での暮らしは、『たべる』事が大好きなお父様は、
ちらし寿司やコロッケや天ぷらを召し上がったりして、
楽しく過ごされていたそうだ。
誤嚥性肺炎が繰り返されるようになったのは、昨年の秋頃から。
3回の入院があって、寝たきりになってしまった。
病院からは胃瘻などのご提案もあったようだが、
ご家族は自然な形のお看取りを決意され、
点滴とかはできない特養に戻すことなく、
息子さん達のご家族の家にお父様を引き取って、
最後の時間を過ごされる事を決められたそうだ。
とは言え、皆さまよくご存知のように、僕らの
『ザイタク』医療は、最後まで『暮らし』を諦めない。
腹臥位療法後の恒例の端座位訓練と足浴時、
お父様に、何か食べたいものある?と尋ねると、
今日は『たまご!!!』と、ハッキリおっきな声。まだ希望がある。
お孫さん達もこのお祖父ちゃんの希望の光を喜んでたそうだ。
色んなご家族の主語の想いが、どうかどうか重なって、
素晴らしい『HOME』、素晴らしい『ザイタク』となりますように。
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Source: 兵庫県三田市の在宅療養支援診療所「たなかホームケアクリニック」
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