三田サンセット

医療機関

先生、夜中ね、胸が苦しくなってね。

看護師さんにお電話したの。でね、、、

お薬飲んでって、言われたんやけど、、

この胸の苦しいの、お薬やないんよ。。。

この胸の苦しいの、わからんと思うんよ。。

この胸の苦しいの、聴いて欲しかったんよ。

 

そう言って、夕方、お電話があった。

大好きで大好きで、胸が苦しくなるくらい、

逢いたい男性(職員さん)がデイサービスに居る彼女。

 

そのデイサービスで大好きな彼の事を、

女同士で、楽しくコッソリと話す友人がいる。

いや、いた。と言った方が正しいか。

 

 

先月、彼女のその友人は、急逝された。

デイサービスでは、彼女が落ち込むだろうと、

配慮して、すぐにはそのことが伝えられなかった。

彼女が友人の急逝を知ったのは、他のご利用者さんから。

 

予期悲嘆という言葉をご存知だろうか?

 

大切な方との避けられないお別れがある時、

前もって、心が、悲しみの準備をする。

この心の準備があることで、お別れの後も、

大切な人を穏やかに想い続けることができる。

 

これは年齢や性別に関係なく、生きていく上で大切なこと。

 

僕らにとっては日常の死。

患者さんやご家族やご友人には非日常。

大切な死が、暮らしの中にあることは大切だが、

そんな大切な死のそばには、いついかなる時も

誰にとっても、予期悲嘆の配慮があって欲しい。

 

彼女にとって、急逝されたデイサービスの友人は、

大好きな彼の事を、おしゃべりし合える大切な人。

予期悲嘆なく、友人とお別れした彼女は今、

解決しない喪失感と向き合い苦しみの渦中。

 

僕らの出来ることは、やっぱり、彼女のお話を聴くこと。

デイサービス職員の彼のお話を、さっきの夕方のお電話で、

15分ほどお聴きしたら、彼女がこうおっしゃられた。

 

先生、こんなにも長いことお電話でお話きいてもらえて、

わたし、お薬飲むより、スーッと、しました。

ありがとう。ありがとう。明後日のデイサービスは、

今日みたいに休まないで、彼にも逢いに行ってみるわ。

夜中、また、胸がキューって締め付けられてきたら、

お電話でお話聴いてくださいね。きっとよ。

 

そうおっしゃって、ご自身でお電話を切って行かれた。

 

 

 

夕方は、やっぱり、誰でも、

なんだかセンチメンタルなもんだ。

解決しない苦しみ。誰にだってある。

それは解決して欲しいわけじゃない。

お話を聴いて欲しい、だけなのかも。。。

 

 

 

今日も、みんなでザイタク取り組んだ。

楽しかった。良かったら聴いてください。

 

 

 

 

 

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Source: 兵庫県三田市の在宅療養支援診療所「たなかホームケアクリニック」

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