いったい いつになったら発行されるのだろうかと思っていた『糖尿病治療ガイド』ですが;
ようやく 11月19日に発行されました.
例年 5-6月頃には発行される この治療ガイドは どうしてこれほど遅くなったのでしょうか? 学会からは その理由については説明がないので,勝手に推測してみます.
まず これには前例があります.この記事にも書いたように;
2010年の治療ガイド発行は大幅に遅れて10月になりました.
この原因は;
- この年7月に糖尿病診断基準が大きく改訂された
- 更に HbA1cの表示が日本のJDS基準から国際共通基準(NGSP)に変更された
この二つが重なったためと推測されます.
では,今年の場合はどうなのでしょうか. 旧版である『糖尿病治療ガイド 2022-2023』と今回のものを比較したところ;
- 【1】 2022年12月に「2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム」を発表し,さらに2024年7月にその改訂版を発表したことに対応して,第6章『薬物療法』(p.49~)の記述が大幅に変更された.
- 【2】糖尿病に対するスティグマ(いわれなき偏見)を解消させるアドボカシー(支援)活動の一環として,糖尿病の名称を「ダイアベティス」とすることを提案したことに対応して,治療ガイド中の本文 各所で,言葉の「置き換え」が行われた.
【2】の一例では,旧版では「療養支援」としていた個所は,すべて「自己管理支援」と書き換えられています.これは糖尿病の治療が 医師から患者に指示・命令するものではなく,患者の自己管理を医師がサポートするものであるという立場によるものです.
それ以外にも 『はじめに』で述べているように,日本糖尿病学会がこれまで発行してきた各種文書,及び他の学会のガイドラインの記載内容との統一整合性をとったことによる変更もありますが,やはりこれほど発行が遅れたのは,上記の2点が主な原因ではないかと思われます.
まだ入手したばかりで,旧版・新版の詳細な比較はこれからですが,とりあえず気づいた点を一つ.
第5章 「運動療法」
[3]運動の強度 p.44 下から6行目
中強度とは,最大酸素摂取量のものを指し,
とあるのは
中強度とは,最大酸素摂取量の50%前後のものを指し,
の誤りと思われます.
「11月19日に発売」とアナウンスされたので,当日は大手の書店を駆け回ったのですが,どこも入荷していませんでした.結局 昨日になってようやく入荷したとの連絡を書店からもらって入手できました.
どうして発売日に書店に並ばなかったのか,発行元の文光堂に問い合わせてもらったのですが,版元では11月19日に間に合うように出荷したつもりでした. しかし,昨今のトラック運転手人手不足の影響なのでしょうね,どの書籍も出荷から納入までには かなり支障がでているようです.
Source: しらねのぞるばの暴言ブログ
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