米国ニューヨーク・ミッドタウンマンハッタンにある
ロックフェラーセンター前のクリスマスツリー。
ロックフェラーセンターは
19のビルがあり、各ビルの低層階はひとつの建物として繋がっています。
その中心となるGEビルは、
高さ259m、70階建てです。
そこにクリスマスツリーが飾られます。
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このロックフェラーセンターには
毎年冬になると大きなクリスマスツリーが飾られます。
このツリーは、
11月の第四木曜日の感謝祭サンクスギビングデーの
翌週水曜日に設置・点灯されています。
この点灯式は、
毎年NBCの番組Christmas in Rockefeller Centerで
全米ライブ放送されます。
とても多くの国民が
このツリーの点灯式を待ち望んでいるのです。
トリップアドバーザーの
死ぬまでに見たいクリスマスツリーにも一番に紹介されています。
このクリスマスツリーがここまで愛される理由は
初代のクリスマスツリーにありました。
ロックフェラーセンターは、
およそ100年ほど前にマンハッタンに文化的な拠点を作りたいという文化人たちからの声を
当時の大富豪ジョン・D・ロックフェラー氏が
社交パーティーで聞いたことから始まります。
当時のマンハッタンは、
大都会として機能しはじめたところで
地価は高騰し続けていて、
もうすでに
広大な土地を確保できる場所もありませんでした。
それを実現できるとしたならば
唯一
全米一の大富豪であるロックフェラー氏しかいませんでした。
彼は
ニューヨークに素晴らしい文化的拠点を作ることに協力することを約束しました。
でも
すでにマンハッタンは狭いために
巨大な施設を作るだけの土地がない。
唯一、
広大な土地は
コロンビア大学が所有する植物園でした。
この植物園は、
1801年に米国で最初にできた植物園です。
でも
そこは昔からの貴重な植物が残されている場所。
その貴重な土地を買収して
建物を建てるという提案は
コロンビア大学側としても納得できるはずもなく
交渉は難航しました。
さらに
当時の米国は、バブル景気にあり、
とくにニューヨークには次々と超高層ビルの建設が始まっていて
建設費が高騰していたのです。
そして
追い打ちをかけるように
1929年10月にバブルが崩壊します。
世界恐慌の始まりです。
バブル景気に沸いていたニューヨークでさえ、
失業者たちが増え続けました。
ロックフェラー氏も、
この恐慌によって巨額の財産を失いました。
それにもかかわらず、
ロックフェラー氏は、
恐慌の惨状を見ながらも
強い使命感を持って
根気よく植物園を所有する大学と交渉を重ね、
巨額の費用を覚悟の上で
当初構想されていた計画を遂行していきました。
そして
彼の熱意によって
コロンビア大学から植物園を買収することに成功します。
1930年から建築がはじまります。
この巨大な建設計画によって、
多くの失業者たちが仕事を得ることができました。
でも
それに引き換えに
樹齢百年以上の貴重な植物園の木々を切り倒さなければなりませんでした。
このビルの建設によって
貴重な植物たちの命と引き換えに
労働者たちやその家族が、
恐慌の中でも無事に冬を乗り越えることができたのです。
1931年のクリスマスイブ。
恐慌で苦しんでいた労働者たちに
最初の給料が支払われました。
建設現場の労働者たちは、
おのおの自分たちの少ない給料の中からお金を持ち寄って、
建設現場で一本のバルサムモミの木をクリスマスツリーとして
深い感謝の気持ちを込めて
紙で作った飾りなどで綺麗に飾り付けて
祝いました。
そこには、大きな感謝が込められていました。
失業していた自分たちの生活のために
困難な事業に尽力し、達成してくれたロックフェラー氏をはじめとする関係者の人々へ
給料がもらえたこと。
そして
そこには
この土地に長い間生きてきた
たくさんの巨木たちの命を引き換えにしたことが土台にあったのです。
このツリーをきっかけに
この時の思いを忘れないようにと
1933年から
ロックフェラーセンターの公式クリスマスツリーの伝統が始まりました。
これはロックフェラーセンターの中心に立つGEビルの建築が完了し、開業した年です。
あの世界恐慌の冬を忘れずに、
恐慌の中でも強い信念と意志を持ち続けたロックフェラー氏を讃えて、
この複合ビルは
完成までに9年を費やし
多くの労働者に職を与えただけでなく
市民たちにも希望を与えて
ニューヨークの復興のシンボルとなりました。
そして敬意をこめて
「ロックフェラーセンター」と呼ばれるようになりました。
こちらは1936年のツリー。
二本のツリーが飾られました。
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いまでも
ロックフェラーセンターのツリーが全米で注目されて
全米生中継されているのには、
つらく暗い時代に射しこんだ希望と光に対する感謝の思いと
今の時代においてもさらなる希望と光を求める思いが
込められているからです。
そして
その陰には
その地で生きてきて
人々のために犠牲になった多くの巨木たちがいます。
そして
ロックフェラーセンターでは
クリスマスツリーとしての役目を終えた後の木は
木材として生まれ変わり、
貧困によりまともに住む処がない家庭に家を提供するNGO団体ハビタット・フォー・ヒューマニティを介して、
余すところなく有効に使われています。
このNGO団体は
「誰もがきちんとした場所で暮らせる世界」の実現を目指し、
世界70ヵ国以上で活動しています。
私たちは
長い歴史の中で
どこにいても何をしていても
無数の樹木のお世話になっています。
樹木の命と引き換えに生かしてもらっていることを
クリスマスツリーの時期には
思い出したいものです。
そして
クリスマスツリーは
いつの時代にも
神の光と希望を感じるクリスマスの象徴的存在になっているのです。
こちらも
ひかたま:ロックフェラー一族とホメオパシー
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Source: ひかたま(光の魂たち)
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