「病気になって、ごめんね」
「がんになって、ごめんね」――
やはり、そう思う人は多いのだろうか
私が乳がん告知を受けたとき、
2週間ほど前に、
すでに母の甲状腺がんがわかっていた
母も自分のことでつらい中、
私のがんを伝えるべきか葛藤でもあった
が、同居している以上、
隠し通すことはできないだろう
「話すのなら、
少しでも早い方がいい」
と、私は告知を受けたその日のうちに
両親に自分の乳がんを告白する決心をした
明るく、
「がんだってさ。
4年8か月前にしこりをみつけているのに、
今さらだよね~」
と、強がってはみたものの、
やはり、こみ上げる涙には勝てない
堰を切ったように、
私はその場に泣き崩れた
母もまた泣きながら、
「大丈夫だ...大丈夫だ...」
と、
“根拠のない大丈夫”を繰り返しながら、
肩を震わせている私を
そっと抱きしめてくれた
「親不孝な娘でごめんね」
そんな言葉が喉まで出かかったが、
その声は嗚咽にかき消された
“親に心配をかけたくない”
そう思うのは、子どもとしては当然だろう
世間では、
「親より子どもが先に逝くことほど、
親不孝なことはない」
とも言われている
それまで両親にはたくさんの迷惑をかけてきた
そして最後には、
“乳がん”という不幸の贈り物か...
孫まで抱かせられなくなるとは、
本当に私はどこまで親不孝な人間なのだろう...
「お前の命さえあれば、それでいいよ」
そんな思いが、
母の心に少しでもあったのなら、
少しは救われるのだが――
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Source: りかこの乳がん体験記
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