どうも、ヨウ-P(@s_y_prince)ことYO-PRINCEです!
いろんな切り口からカイゴのヒントをお届けしています!
今日はちょっと昔話…。
私が介護の仕事に就くきっかけにもなったおばあちゃんの話です。
おばあちゃんはアルツハイマー型認知症でした。
孫である私は、今思えば優しさのかけらもなかったと思います。
認知症のおばあちゃんにだけは優しくなれなかったんですよね…。
おばあちゃんとの思い出を通して、認知症介護においてSOSが出せない人たちの気持ちとそうした人たちへの支援について考えてみました。
おばあちゃんが認知症になった昭和60年代の話
中学1年生ぐらいの出来事だったと思います。
両親・姉・私・おばあちゃんの5人家族で、私は小さい頃からおばあちゃんっ子でした。
おばあちゃんを笑わせたくて、おばあちゃんのそばに行っては面白い格好をしたりしていたのを覚えています。
それが、おばあちゃんが認知症になってから、私はおばあちゃんと関わるのが煩わしくなってしまいました。
一番面倒だったのが、『徘徊』でした。
母親は、おばあちゃんの徘徊が始まると「ちょっと、おばあちゃん見てきて!」と私に頼むことがありました。
今となってはやりとりはあまり覚えていないんですが、ちんぷんかんぷんのことを言うおばあちゃんにどう接すべきか分かりませんでした。
同級生におばあちゃんの姿を見られたら恥ずかしい…、そんな風にさえ思っていました。
当時は「痴呆」と言われていました。
「ボケ」と言われていました。
私は、おばあちゃんが何か別の生き物にでもなったかのように思っていました。
避けていました…。
いつしか、おばあちゃんは私のことが分からなくなりました。
便失禁をして母親がお風呂場で身体を洗っていました。
病院では手足を縛られていました。
そして、中学2年生のときにおばあちゃんは亡くなりました。
部屋に1人になって号泣したことを覚えています。
認知症になって死ぬまでの間、私はおばあちゃんに向き合えなかった…。
向き合うどころか、人間として見ることができなかった…。
申し訳ない気持ちと、自分への苛立ち。
おばあちゃんとの思い出は、おばあちゃんが認知症になってしまったことで、私のなかでは辛い思い出に塗り替えられてしまったのです…。
認知症介護で家族がたどる「4つの心理的ステップ」
あの頃の私はまだまだ子どもだったので、そんな感覚になるのも仕方ないのかもしれないんですが、介護施設で働き始めて入所者の面会に来る子どもたちの姿を見ていると私が特別冷たい人間のように思えてなりませんでした。
どの子どもたちも嫌がることなく認知症のおじいちゃんおばあちゃんと接しているのです。
私が介護の仕事をし始めたのは、介護保険制度が始まったころで、その後「痴呆」から「認知症」へと名称変更されたころです。
「認知症」の理解も少しは広がっていたのもあるのかもですが、それにしても当時の私のおばあちゃんへの態度はひどかったと思うのです。
なぜでしょう??
それは、私がおばあちゃんと小さい頃から共に暮らし、より家族としての思いが強くあったからではと思うのです。
認知症介護では、家族は「4つの心理的ステップ」をたどると言われています。
この「4つの心理的ステップ」は川崎幸クリニック・杉山孝博院長が考案したものです。
詳しくは、こちらをご覧ください↓
というわけで、認知症介護で家族がたどる「4つの心理的ステップ」がこちらです↓
第1ステップ:とまどい・否定
第2ステップ:混乱・怒り・拒絶
第3ステップ:割り切り・あきらめ
第4ステップ:受容
きっと私は、子どもながらになかなか第3ステップに行けずにいたんだろうなと思うのです。
おばあちゃんっ子であったことと私の性格的なこともありながら、認知症になったおばあちゃんに戸惑い、否定したくなり、混乱し、時に怒り、拒絶してしまっていたのだと思います。
今も昔も、きっとこのステップは変わらずあるんだと思うんです。
なかなか進めない第3ステップに進める支援があればいいんですが、当事者は戸惑いや怒りといった感情を悪いことと捉えて、感情の表出ができなくなるんですよね。
子どもだった当時の私だけでなく、今も多くの家族がそこで苦しんでいるような気がしてならないのです。
SOSが出せない人への支援とは?
とまどい、混乱、怒り…。
第1ステップ、第2ステップからなかなか抜け出せない人が多い一方で、早い段階でSOSを出し、第3ステップ、第4ステップに進める人が増えてきたとは思います。
ですが、今も昔もどのステップであっても、なかなかSOSを出せない人たちがいます。
SOSが出せない人たちの支援こそが認知症介護の問題には必要です。
暮らしの中の問題はプライバシーに関わることがゆえに、SOSを出せない人たちへの介入は難しいものです。
中学生の頃の私が認知症になったおばあちゃんにとまどいを感じていたとき、誰かがそっと介入してくれたら、もっと違う形でおばあちゃんと関われたかもしれません。
SOSが出せずにいる人には、どんな支援が必要なんでしょうか?
SOSを出せない人には大きく分けて4つのタイプがあります。
- 恥ずかしくて言えない
- 人に頼りたくない
- どうにかなると思っている
- 知識がない
それぞれのタイプ毎に必要な支援は何かを考えていきたいと思います。
恥ずかして言えない人への支援
これは30年前の中学生だった私のような心理状態の人ですね。
親が認知症になったときに、「知られたくない」という心理が働くことがあります。
まさに、前述の第1ステップの「とまどい」や「否定」です。
最近、おかあさん大丈夫ですか?
あっ…大丈夫ですよ、元気にしてますんで!
誰かが介入してその人に聞いたとしても、本当のところは隠して答えてくれません。
こうして方への支援は、こうなってしまってからではなかなか難しいものがあります。
対策はたった一つです。
もっと早い段階で認知症の知識を身につけてもらうしかありません。
認知症のことをもっと知っていれば、「恥ずかしくて言えない」なんて言っている場合ではないことが分かるはずです。
人に頼りたくない人への支援
これは「恥ずかしくて言えない」人の心理と似ているかもしれませんが、純粋に「人に頼りたくない」人もいるんですよね…。
「介護は誰でもできる」なんて思ってる人は、いざ「我が事」となったときに「人に頼りたくない」となってしまうかもしれません。
プライドが高い人も要注意ですね!
このタイプの方も、そうなってしまってからでは支援のしようがありません。
やはり対策は一つで、早い段階で認知症の知識を身につけてもらうしかないんです。
認知症のことを知っていれば、「誰でもできることではない」ことが分かりますし、しょーもないプライドで意地張っても仕方ないことが分かるはずです。
どうにかなると思っている人への支援
認知症の初期症状は「どうにかなる」と思ってしまうものです。
ところが、認知症が進行してしまってもなお、「どうにかなる」と思ってしまう人がいるんです。
どうにもしてあげられないから「どうにかなる」と思い込もうとしている人もいます。
「どうにかなる」と思っている人は、認知症の初期症状の段階で何か言っても分かってもらえないことがほとんどです。
で、認知症が進行してきて焦りが始めることがあるわけですが、認知症が進行してしまってからでは手の打ちようが難しくなって「どうにもならない」状況になっていることが多いんです。
「どうにかなる」時期にこそ早期の支援をしておきたいわけですが、「どうにかなる」時期には「どうにかなる」ので「どうにかなる」と思ってしまって支援のしようがないんです。
対策はこれまた一つです。
早い段階で認知症のことを知っていれば、「どうにかなる」時期にこそ「どうにかなる」と思ってはいけないという思考を身につけておくことができるはずです。
知識がない人への支援
一般の人は認知症のことは何も分からないという人が多いものです。
当事者にならないと他人事になってしまうものですから…。
認知症を他人事のように思っている人は認知症の知識が全くないことが多いです。
これまでになかったような物忘れやおかしな言動があっても認知症を疑うことすらできないことがあります。
こうしたケースの場合は、認知症について教えてあげることで支援を動かし始めることができます。
周囲の誰かが認知症のことを知っていれば、その誰かからの知識の提供によって支援が動き始めることがあるんです。
周囲に認知症の知識がある人がいればいるほど、支援が動き始める可能性が高まるってことですね!
ここまで4つのタイプを見てきましたが、要するに、認知症の知識が大事なんです!
そして、できることなら早い段階で、できるだけ多くの人に認知症の知識をつけてもらっておくことが大切で、SOSを出せない人を救う方法はそれしかないわけです!
大人も子どもも認知症サポーター養成講座を受けよう!
認知症の知識を身につける方法として、認知症サポーター養成講座というものがあります。
まずは、こちらのサイトをご覧ください↓
認知症サポーターとは、認知症の人と家族の応援者である認知症サポーターを全国で養成し、認知症になっても安心して暮らせるまちを目指すというものです。
認知症のことをちゃんと理解してもらうために、講師役のキャラバンメイトが自治体事務局等と協働して認知症サポーター養成講座を開催してくれます。
認知症サポーター養成講座については、各自治体の自治体事務局に相談すると教えてくれますし、地域や学校、会社から講座開催の依頼をすれば、一定の条件のもとで講座開催の調整をしてくれます。
受講料は無料で、90分程度の講義となっているので気軽に受講できるうえに、オレンジリングというものがもらえます!
地域によっては学校でも積極的に開催されていて、これからの時代、子どものころから認知症について学んでおくことはとても大切なことだと感じています。
これは私の子どもの頃の体験から考えても、認知症だけでなく「介護」という科目で教育を義務化してもいいぐらいだと思っています。
そうすれば、先々認知症介護に直面したときに誰しもSOSが出せるはずですから!
ちなみに、私も認知症サポーター養成講座の講師役であるキャラバンメイトの資格を有しています。
私は以前学校で開催された認知症サポーター養成講座の講師を務めたことがあるんですが、子どもたちは真剣に聞いてくれました。
このブログ同様にユーモア盛りだくさんでお届けしたことで子どもたちのハートを完全に鷲掴みにしたというのが成功の要因かと勝手に思っています。
キャラバンメイトになるためには一定の条件がありますが、なりたい方はこちらを確認いただいてぜひともキャラバンメイトとしての活動を始めてみてください!
まとめ
認知症は今や誰もが知っている病気です。
ところが、認知症の知識はと言うとまだまだ一般の人には知られていない現実があります。
当事者でない限り他人事になってしまうことから、認知症の関心がない方がまだまだ多いことは一つの要因かと思いますが、介護の仕事に関わる私たちが、もっと一般の人たちに分かりやすく知識を届けることも必要なのかなと感じています。
介護の仕事をしていると、介護のことや認知症のことを一般の人たちに説明することの難しさを感じます。
一般の人たちに伝えるべきことは何なのか?
一般の人たちが知りたいことが何なのか?
一般の人たちにどう言えば伝わるのか?
一般の人たちに関心を持ってもらうにはどうすればいいのか?
そういったことを考えながら、キャラバンメイトとして地域に認知症のことを知ってもらえるような活動が出来ればと思っています。
出来れば子どものうちから認知症のことを伝えていきたい!
そうすれば、認知症で困ったときにできるだけ早くにSOSが出せるようになるだろうし、認知症の介護に早期に支援を入れることができる!
認知症のことをもっともっと分かりやすく伝えていけるようにして、できるだけ認知症の方の介護が楽になるように、このブログで「介護のヒント」を届けていければと思います。
私自身としては、おばあちゃんにできなかったことから学んできたことを教訓として、これからも認知症の方の支援が適切に出来ればと思っています。
この記事を天国のおばあちゃんに捧げます…。
Source: すべての道は介護に通ず【暮らしかるモダンなブログ】
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