インスリン分泌の『なぜ?』を考える11

健康法

前回の記事について,おそらく医師とお見受けする方から,

健常者の[血糖値 vs Insulin 図]についてLoop Patternが何種類かに分類されるという見解は,過去に報告例があるのか

という,ご質問をいただきました. 先生,ご質問 ありがとうございます.

ご質問にはメールでもお答えしましたが,図を含めてご説明した方がよいと存じますので,ご許可をえて 本記事でも述べます.

たぶん 既報はないと思います

まず,既報文献があるかという点ですが,私の調べた範囲では見当たりませんでした.
もちろん 系統的に文献検索したわけではないので,断言はできません.ただし,糖負荷試験後の血糖値の変動パターンについては;

経口ブドウ糖負荷試験時の連続血糖測定による2峰性血糖曲線の意義について

などの報告は いくつかあるようです. しかし,インスリン分泌パターンと比較としてLoop図化したものではありません.

個別症例を平均化したのでは

そこで,既報が見当たらない理由ですが,鹿児島大学 納先生もHP で述べておられるように,個人ごとに 非常に異なるパターンを呈していたとしても,それら全員のOGTTの平均データをとると;

こうなってしまいます. これを BG vs INS のLoop図にすると;

26人の,どの人とも一致しないパターンになります.似たような形はありますが,それはわずか2,3人です.納先生は こう評しておられます.

26例の個々人の息の詰まるようなすざましい変化に比べ、平均をとってしまうとこんなにも味気ない無意味なものになってしまうことが分っていただけると思います。

患者の立場での糖尿病臨床研究
その3:健常成人26人の5時間糖負荷試験の驚きの結果
納 光弘

したがいまして,文献に報告されるOGTTデータは多数のSubjectの平均化により,そもそも個人のVariationが消失しているため,結果として まるで異なるLoopパターンがあると一般に認識されていない原因ではないかと推測しております.

[12]に続く

Source: しらねのぞるばの暴言ブログ

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