『頭の中が真っ白になる』という表現がある
いわゆる、“頭が真っ白”というアレである
「なんで私が?」という思いとともに、
がん告知を受けた人のほとんどが感じた思いだろう
『頭の中が真っ白になる』の意味は、
“あまりの衝撃で、なにも考えられなくなる”
...といったところだろうか
がん告知の瞬間が、
『頭が真っ白』という言葉で表されるとしたら、
私の場合はちょっと違う感覚だった
一言でたとえるなら、
「頭の中がぐちゃぐちゃ」
強い衝撃を与えられた脳みそが、
一瞬にしてバラバラになった感覚だった
頭の中は、灰色
ちょうど、セメントのような色合いだ
そして、“なにも考えられなくなる”どころか、
言いたいことが沸々と湧き上がってきた
4年8か月前、“良性”だって言ったじゃん
どうしてあのとき、
きちんと検査してくれなかったのよ
――しこりをみつけて初めて受診したとき、
視触診だけの診察だった
きっと、しこりも動いている*し、
年齢的にも「がんではない」と思ったのだろう
*)・・・一般に、
『“がん”はベタっと貼りついて動かない』
と、言われているが、
私はコロコロとよく動いていた
それは、良性腫瘍である“乳腺線維腺腫”と
同じ症状だ
そのとき、“良性”と診断したとしても、
「そのままにしておいていい」はないよね
せめて、
「定期的に検査しましょう」と言ってくれていれば...
もう5年近くがんを放置しているんだよ
身体の中、がんでいっぱいじゃん
私、いつまで生きられるの?
もうすぐ死ぬじゃん――
そんな怒りが、頭の中いっぱいになった
結局、私は何一つ言葉にできず、
その思いは涙となって頬を伝った
『頭が真っ白』どころではなく、
怒りと憤り、そして絶望でいっぱいだった、
私のがん告知の瞬間
まぁ、私の場合、
ちょっと異例ではあったが...
やっぱりみんなも、
『頭が真っ白』になったのだろうか――
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Source: りかこの乳がん体験記
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