おはようございます。
当ブログの読者の方から、以下のご質問を頂戴しましたので回答させていただきます。
はじめまして
ngsawaはじめと申します。
色々迷いながら検索していた時、ふとちゅり男さんのブログを拝見しました。
その中で米国株への投資は魅力があるということを知りました。
またちゅり男さんのお人柄が見えることもあり、厳しいご意見を求める決心をいたしました。
私は国内の投資信託を初めて5年になりますが結果はずさんなものでございます。
もっと早くちゅり男さんと出会えていたら。投資に対する考え方が変わっていたかと思うとやりきれない気持ちです。
それというのは、定年後少しでも資産を増やせればという強欲から国内の投資信託に全財産の四千万円を投資しました。
例えば、楽天USリートや好配当グローバルリートといった高分配金に魅力を感じ強欲の余り何の勉強もせず手を出したための罰だと思っています。
また、今では当初の目的とは遠くかけ離れ資産が増えるどころか大きく目減りしている現状です。
そこで現在保有株のすべてを思い切って売却し米国株式ETF「VT」「VYM」に乗り換えてみたいという気持ちもある反面反面、今決済したら一千万円強の損金が発生してしまいます。
そんな理由もあり正直乗り換えに至って迷いがないと言ったら嘘になるかと思います。
そこでちゅり男さんから一歩前に踏み出せるアドバイスをいただけたらと思い突然ですがメールをさせていただきました。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
ご質問ありがとうございます。
定年後に全財産の4,000万円を楽天USリートや好配当グローバルリートに投資し、1,000万円強の損失が発生しているが、どのようにすべきかというご質問ですね。
楽天USリートや好配当グローバルリートで生じた1,000万円の損失をどのようにすべきか?
好配当グローバルREITプレミアム・ファンドとはどのような商品か?
ご質問の中にある「好配当グローバルリート」とは「好配当グローバルREITプレミアム・ファンド」のことと推測します。
私自身は購入したことがありませんが、どのような商品か検討してみます。
まず大前提として、商品名に「プレミアム」といかにもな名称がついている金融商品が本当にプレミアムであることはありません。
商品概要を見てみます。
私が不勉強なだけかもしれませんが、交付目論見書の商品概要説明の部分を読んでも、どのような商品かが頭に入ってきません。
私自身は金融商品に関してはシンプルイズベストだと思っていて、すごそうな言葉で修飾されている商品ほど中身が伴いません。
次に、コストを見てみます。
購入時手数料が3.78%、実質的な信託報酬が1.9204%と途方もない数字です。
買った瞬間に負けがほぼ確定している高コストと言えるでしょう。
運用成績は購入したファンドの優秀さに左右されますので、購入時に100%予測することは困難ですが、コストに関しては高ければ高いほど確実にリターンを侵食します。
楽天USリートとはどのような商品か?
「楽天USリート」は「楽天USリート・トリプルエンジン(レアル)」のことでしょうか。
こちらの商品も交付目論見書を読みながら考察してみます。
まずは商品概要です。
「米国リートETFの配当金に加え、インカムプラス戦略ならびにブラジル・レアル戦略による収益の確保を目指します」とありますが、ブラジル・レアル戦略という単語自体が意味不明です。
一般的に、高配当、高金利だけに目がくらんで安易に「リート」や「新興国通貨」にご自身の金融資産の大半を賭けるのは自殺行為です。
資産形成のメインはあくまで株式や債券であることを絶対に忘れてはなりません。
こちらの商品も、購入時手数料が3.24%、信託報酬が1.512%と致命的な高コストです。
よほど相場に恵まれない限り、長く保有し続ければし続けるほど、ほぼ確実に損が出る商品と言えるでしょう。
20年間保有すれば、コストだけで投資元本の30%以上が侵食されるわけですから、勝ち目がありません。
楽天投信投資顧問さんは、2017年から楽天VTや楽天VTIなど優れた商品を発売していますので個人的に応援していますが、こうした負の遺産として言えない商品もまだあるのですね。
今の相場環境で1,000万円強の損失が発生する商品にろくなものはない
2018年に入ってからは米国株式を除いて株価は軟調ですが、ここ5年間を総じて見れば極めて恵まれた相場環境であったはずです。
このような環境で1,000万円強の損失が発生する商品を今後保有し続けたとしても報われる可能性は低いです。
以前に記事にした通り、含み損は損失を確定していないだけで、今の時点ですでに損失が発生している状況に変わりはありません。
とりあえず1,000万円分の損失はいったん忘れて、「今の時点で残りの3,000万円を現金で保有していたら、もう一度その商品に投資しようと思うか?」という冷静な視点で考えた方がよいと思います。
その答えがNoであれば、今すぐに売却すべきなのでしょう。
損失の金額が1,000万円強と比較的大きいので心理的なダメージは大きいでしょうが、これ以上傷口を広げるとより泥沼にはまります。
一度相場から離れてみるのもアリ
個人的には、一度現金化して相場から離れてみるのもアリかと思います。
定年退職後ということですから、年金もあるでしょうし、さほどリスクを負って株式投資に力を入れる必要性も低い気が致します。
まずはご夫婦の年金支給額と毎月の生活費を比較検討し、リスクを負って資産運用する必要性がどの程度あるかを再検討すべきでしょう。
そのうえで、米ドルでETFを購入するというのも少々ハードルが高いですから、購入するならばできるだけ低コストのインデックスファンドがよいのではないでしょうか。
今では楽天VTや楽天VTIという商品もありますから、無理にドルで運用しなくても円建てのままでVTやVTIを間接的に保有することが可能です。
まとめ
1,000万円という損失額は小さなものではありませんが、このまま保有し続けても長期的に報われる可能性は低いものと推察します。
一度現金化し、ご自身の置かれている状況を客観的に見直したうえで、必要があれば再度株式市場にエントリーという方針でもよいのではないでしょうか。
こんな記事も書いています。
投資では「大きく負けない」ことが鉄則です。仮に50%の損失を出してしまうと、元値に復帰するのに+100%のリターンが必要になります。ライフステージに合わせて無理のない投資をしましょう。
バイ&ホールド戦略は、ホールドし続けるだけの価値がある商品に投資して初めて意味を持ちます。
楽天VT、楽天VTIといった低コスト投資信託であれば、株式市場の動向には左右されますが、比較的安心してホールドできます。
Source: 神経内科医ちゅり男のブログ
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