今回の講演で,最新情報が得られるのではないかと ひそかに期待したのは,この記事にも書きましたように,糖尿病 新薬 イメグリミンです.
名前が出ない
イメグリミンは,昨年9月に大日本住友製薬から製造販売申請がPMDA(医薬品医療機器総合機構)に提出され,現在審査が行われています.
昨年秋の第63回糖尿病学会 年次学術集会での発表をみる限りは,薬効は十分ですし,その後 有害な副作用などの情報もありません.
したがって,あとは 厚労省の認可を待つばかりなので,今回の『第55回 糖尿病学の進歩』講演会で,何か情報が聞けるかと思ったのですが,まるで名前が上がりませんでした.
大日本住友製薬がスポンサーになっている共催セミナーですら,何も言及がありませんでした.
そこで,やや気がかりなことが 2つあります.
コロナのせい
一つは,現在 厚労省や関係機関は,新型コロナの治療薬・ワクチン,そして注射器などの対応で 手一杯だろうと推察されます. つまり,新型コロナ関係が最優先であって,それ以外のすべては後回しにされているのではないかという点です. ただし,これはイメグリミン に限らずすべての薬がそうでしょう.
欧米での遅れ
もう一つは,イメグリミンに固有の問題です.
この薬を開発したのは,フランスのPoxel社です. 大日本住友製薬はPoxel社から 日本及び東南アジアでの販売ライセンスを得たので,日本での製造・販売承認に必要な 薬効試験・臨床試験は 同社が行いました.
ところがそれ以外の国,特にもっとも市場の大きい米国・欧州での製造販売の成り行きがなんだか怪しいようです.
Poxel社のHPを見ると,下図の通り 欧米での第3相試験(PH3)が始まっていません.
どうなっているんだと調べたら,昨年11月に Poxel社がこんな発表をしていました.
Poxel Provides Update on Metavant Partnership with Imeglimin
どうもイメグリミンの欧米での販売権ライセンスをめぐって,Poxel社とパートナーでグダグダが始まっているようです. 欧米での新薬承認を得るには,非常に厳格なハードルがあります. つまり金がかかります.この費用負担をめぐって話が進んでいないと思われます.これが日本での販売承認に影響するかどうかは不明です.
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Source: しらねのぞるばの暴言ブログ
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