乳がんになってからというもの、
『健康』
という意味が、よくわからなくなった
○がんがわかった
初期の段階では、
自覚症状はないことがほとんど
がんが発覚したからといって、
特に“不健康”という意識はない
○がんの摘出手術をした
“悪いものを取った”
．．．ということは、
“健康になった”ということなのだろうか
○がん治療中
副作用がつらく、
日常生活さえままならないのなら、
“健康”とは言えないのか．．．
○がん治療終了
薬物療法が終われば、
“＝健康”というわけでもない
○数年、十数年、検査は続く
再発のリスクを抱えていても、
“不健康”なわけではない
がんにならなくても、
世の中には
“不健康”と言える人たちがたくさんいる
その多くが生活習慣病、
そして、喫煙や過度な飲酒、
運動不足の人たちだ
たとえば、血液検査
・血圧
・血糖値
・中性脂肪
・コレステロール．．．
私はどれも正常値である
それだけで見れば、
一般的には“健康”というのかもしれない
が、今の私は体調も思わしくなく、
乳がん治療前のような元気はない
とても、
「健康です」
とは言えない状態だ
一番困ったのは、“履歴書”だった
治療中、新しい職場を探したが、
履歴書には、
『健康状態』
という欄がある
記入例としては、“良好”と書くらしい
私もこれまで、“良好”と書いてきた
が、がんをすると．．．
特に治療中は、決して“良好”とは言えない
治療が終わったところで、
がんが治ったわけではない
検査にも行かなければならないことを考えると、
“良好”と記入するのは、
後ろめたさに苛まれるのだ
しかも勤務が決まったあとで、
職場に病気が知られてしまったら．．．
『健康』とは――
WHOによると、
「肉体的、精神的及び社会的に完全に良好な状態であり、
単に疾病または病弱の存在しないことではない」
．．．と、定義している
定義上、“がんだから”．．．
というのは理由にはならない
が、現実はそんなに甘くないのが実情だ
そして私は、今の状態では、
確実に“健康”とは言えないだろうな．．．
夕刻――
可愛い空に出逢えた
右下には、
あと3日で満月になる月が紛れてる．．．
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Source: りかこの乳がん体験記
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